北京冬季五輪「外交的ボイコット」巡る重要な論点 自民・佐藤氏「日本は疑念を持たれてはいけない」

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梅津キャスター:こちらが2008年北京夏季五輪をめぐる動き。

佐藤氏:8月8日が北京五輪だった。その約半年前の3月にチベットのラサで大暴動が起きて、中国政府はそれを武力鎮圧した。多くの国が人権問題から外交的ボイコットをすべきだと議論になった。ところが福田(康夫)政権は人権に若干懸念はあるものの一生懸命開会へ向けて頑張っており、参加するとかしないとか言うべきではないと火消しに回り、5月には胡錦涛国家主席(当時)を日本に招いて天皇陛下に会わせた。つまり、ボイコットの流れを打ち消した。それでアメリカのブッシュ大統領も五輪開会式に行った。しかし、後にブッシュ大統領は「行くべきではなかった。後悔している」と。その反省に立てば、今回われわれとしては人権上も日本の主権上も態度を早急に明確にすべきだ。

五輪後の外交はどうなるのか

橋下徹氏(番組コメンテーター、元大阪市長、弁護士):僕も中国のさまざまな問題に言いたいこと山ほどある。ただ、外交的ボイコットと佐藤さんは言うが、五輪が終わったあとの外交はどうするのか。全部やめる、断交なのか。それともこの冬季五輪期間だけなのか。しかも五輪外交なんて儀礼的なもので実質的な意味はない。顔を合わせて酒でも飲むか、乾杯かぐらいの話だ。五輪期間だけ儀礼的な外交をとめて、五輪が終わったあとも外交をやめるのか。

(写真:FNNプライムオンライン)

佐藤氏:外交をやめるなんて言っていない。当然、日中間には大きな懸案事項がある。私の出身の福島で言えば、福島の、あるいは東北地方の農産品の輸出規制の問題もある。外交課題はあり、外交交渉をやらないといけない。次は日本の外務大臣が中国に行く番だから、それはやるべきだ。

橋下氏:では、冬季五輪期間だけ外交をやめるのか。

佐藤氏:冬季五輪前の今、同じ価値観を持つ多くの国々が外交的ボイコットと言っている。実際日本は外交的にアメリカやオーストラリアとこの問題をずっと議論してきている。そういう中でアメリカやオーストラリアが(政府関係者の派遣を)やめると言ったこの段階で、林外務大臣が北京に行くなどは時期的に全然違う。

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