ヤフーがグーグルの検索エンジンを採用、日本でもヤフー天下の終わりの始まりか
ヤフーは7月27日、自社のポータルサービス、Yahoo! JAPANの検索サービスで、米グーグルの検索エンジンと検索連動広告配信システムを採用する、と発表した。同時にヤフーは、オークションの価格情報など自社のデータをグーグルに提供し、検索サービスの向上につなげる。
現在、ヤフーは、米ヤフーが開発・運用する検索エンジン「YST」と検索連動広告配信システム「YSM」を利用、グーグルと検索・検索連動広告分野で激しい競争を繰り広げている。日本国内の検索市場では、ヤフーが6割弱、グーグルが4割弱のシェアを持ち、米欧を中心に圧倒的なシェアを持つグーグルに対し、優位に戦いを進めていた。検索連動広告市場でも、ポータルサービスなど総合的な集客力を武器に、優良な広告主を抱え、グーグルを上回るシェアを確保している。
そのヤフーが、検索サービスのコアとも言える部分で、競合のサービスを利用せざるを得なくなったのは、検索エンジンの提供元である米ヤフーの弱体化だ。米ヤフーは主力の米欧検索市場でグーグルに完敗、経営が迷走した挙句に、自社の検索エンジン・検索連動広告システムの開発を断念、マイクロソフトと提携して同社の検索エンジン「bing」と同社の広告配信システム「MS adCenter」の採用を決定していた。
YST、YSMを利用するヤフーとしては、米ヤフーに合わせてbing、MS adCenterを利用するか、あるいは他のシステム(とはいえ、事実上、選択肢はグーグルしかない)を利用するかの選択を迫られていた。
ヤフーは、ブランドこそヤフーを名乗るものの、親会社はソフトバンクで、米ヤフーは大株主の1社に過ぎず、経営的には米ヤフーに左右されない。さらに、米ヤフーとマイクロソフトの提携は北米部門に限られ、マイクロソフトのシステムを採用するかしないかは、ヤフーの判断に掛かっていた。
米ヤフーとマイクロソフトの提携当時は、ヤフー自身もマイクロソフトのシステムを採用するのが自然の成り行き、との見方を示し、業界のコンセンサスもそうなっていた。独立的に決定できるとはいえ、米ヤフーは重要な株主の1社であり、その意向を無視はできない。それでも、今回の意外な決断に至った理由は何なのか。