JR東海、在来線新型特急「HC85系」で何が変わる? 試験走行車として連日運行、64両を新造予定

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

車内も明るく、各席にはコンセントも設置し、現代の車両としてのニーズにも対応している。ただ1つ残念なのが、キハ85系にはあった展望タイプの先頭車がなくなってしまった点だ。HC85系が投入される高山本線と紀勢本線はJR東海在来線の中でも特に車窓の美しい路線である。観光ニーズが高いこともあり、キハ85系では前面展望が楽しめる展望タイプの先頭車が大きな魅力の1つだった。

これについて開発陣に尋ねてみたところ、「HC85系は両方の先頭車に増結することがあり、前面の車窓をお楽しみいただけないことがあるため、前面展望なしとした。なお、側面窓は現行と同等の大きさとしており、車窓をお楽しみいただけるようにしている」とのことだったが、やはり前面展望がなくなってしまった点については少々残念というのが本音だ。

トラブル対策も向上

車両の揺れ対策として最新鋭のセミアクティブダンパーを採用し、これに加えて量産車では特に揺れが発生する分岐器などの位置情報を加味して、適切な減衰力に制御する「地点制御機能」の追加が予定されている。

「鉄道最前線」の記事はツイッターでも配信中!最新情報から最近の話題に関連した記事まで紹介します。フォローはこちらから

このほか、トラブル対策も向上。すでに東海道新幹線で実績のある車両の常時状態監視システムをエンジン付き車両として国内初投入。エンジンやハイブリットシステムをはじめ、約4000項目の各機器の動作状況をリアルタイム監視し、LTE回線によって地上にデータ送信を行う。これにより、故障する前の予兆段階で予防的処置を行うことができるようになった。

今後もHC85系は試験走行を続け、2022年度から2023年度にかけて64両を新造し、順次投入され営業運転が開始される予定だ。試験走行車についても量産車仕様に改造し営業運転に使用される。HC85系がキハ85系同様に「85」の数字を踏襲したのは30年来にわたって社内外ともに愛されてきたキハ85系への思いを引き継ぐ狙いからだ。その期待とともに、今日もHC85系は開発メンバーと共に黙々と試験走行を続けている。

【2022年1月4日20時20分 追記】記事初出時、サブタイトルに誤りがありましたので、上記のように修正しました。

村上 悠太 鉄道写真家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

むらかみ ゆうた / Yuta Murakami

1987年東京都生まれ。高校時代には「写真甲子園」に出場。交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』にて「突撃!ユータアニキ 鉄道HERO完全密着」連載中。撮影の講師や講演を多数行う。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事