JR東海、在来線新型特急「HC85系」で何が変わる? 試験走行車として連日運行、64両を新造予定

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特急車両に求められるのは、長時間乗車でも苦ではない快適な車内空間と速達性だ。HC85系の開発において、特にJR東海の開発陣が苦心したのが、この速達性の確保だ。

HC85系は現在、キハ85系で運行されている特急「ひだ」「南紀」への投入が予定されている。両列車が走行する線区には、山間部の峠越えや高速運行が求められる区間があり、従来通りの走行性能を確保する必要があった。

ハイブリッド方式車両の高速化についてはその分大きな電力を要するため、車載する蓄電池も大容量化することが必要となってくるが、当然車両に積載できるスペースには上限がある。客室内に機器を搭載することも不可能ではないが、そうすると今度は特急車両としての居住性に課題が出る。

そこで、HC85系では必要な蓄電池容量の最適化と電力変換装置などの小型化を図り、機器配置を試行錯誤し居住性と走行性能を両立した。

カギを握る「充電率制御」

さらに走行中、蓄電池への充電率が低くなりすぎると蓄電池からの電力アシストが不可となり、逆に充電率が高すぎると回生ブレーキで発生したせっかくの電力が蓄電池に充電することができなくなり、ロスとして捨ててしまうことになる。

そのため、常に適切な充電範囲に保つために蓄電池の充電率を調節する構造がカギを握る。この箇所の開発は車両制作前から実際に搭載する機器を使用した試験を十分に実施して落成にこぎつけた。だが、この蓄電池の充電率制御はハイブリッド技術の基礎ともいえる機構だけに、車両落成後も何度も検討と検証、改善を繰り返したそうで、開発陣も「HC85系の根幹であり特に苦心した」と語る。

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