酒のチカラに頼らず部下と交流深める「4つの技」 飲みニケーション「不要」と考える人が6割

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グーグルの大規模な実験によって有名になった「心理的安全性」という言葉が、それを表しています。チーム内の心理的安全性が確保されているほど、メンバーは肩の力を抜いた自分らしい姿でプロジェクトに向き合い、リスクが存在する言動であっても、目標達成のために発言できるようになります。結果として、チームの生産性を高める成功因子となるのです。

お酒の場がマイナスに働くことも…

なぜ、ビジネスでお酒が重宝されていたか。それは、お酒が「心理的安全性を高めるためのツール」だったからなのです。しかし、お酒は万能ではありません。むしろ「心理的安全性」にマイナスに働くこともあります。

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例えば、飲み友達の間で同じような意見が繰り返されるため、愚痴グループになってしまう、お酒を飲む人と飲まない人の境界をつくってしまう、お酒の場が好きではない人に対する同調圧力となってしまう、などです。

これから大切なことは、お酒が作り出していたポジティブな側面を生み、逆にお酒が作り出していたネガティブな側面を排除するよう、科学的なアプローチで「心理的に安全な場づくり」をすることなのです。

では、どのようにすれば心理的に安全な場が生まれ、やる気に満ちたチームができるのか。それも一時的なものではなく、持続的に場の心理的安全性を維持するためには、どうすればいいのでしょうか。これは2つのステップにわけて考えるといいでしょう。

・共感デザイン

個々のメンバーが自然体で他者に共感する感覚を取り戻し、チーム内の関係性を高める。「自然体(ホールネス)の自分に戻る」「他者を人間として尊重する」「本音で話せる間柄になる」という3つのステップで、信頼関係をつくる。

・価値デザイン

信頼関係のあるメンバーが集まって率直な意見を出し合い、それを集約し、価値を創造する。「意識を価値創造に向ける」「建設的に第三案を共創する」「場に安心感を生む」という3つのステップで、集団的知性を発揮していく。

まとめると下記の図のようになります。

これらの方法を地道に実践していくことで、少しずつ場に「心理的安全性」が育まれていきます。すると、チームには自由な発想やアイデアが生まれてくるでしょう。

人は対話を通じて、いい関係性をつくることができます。いいチームを望むのであれば、手間と時間をかけてその土壌を耕しましょう。そのためにもまずは自分からはじめる。それが組織を変えていくための第1歩になるでしょう。

これを機に「お酒のチカラ」を手放して、2022年はチームの相互信頼に向き合ってみてはいかがでしょうか。

斉藤 徹 起業家、経営学者、研究者 ビジネス・ブレークスルー大学教授

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さいとう とおる / Saito Toru

日本IBMを経て、2005年にループス・コミュニケーションズを創業。ソーシャルシフト提唱者として、知識社会における組織改革を企業に提言する。2016年に学習院大学経済学部経営学科の特別客員教授に就任。2020年からはビジネス・ブレークスルー大学教授として教鞭を執る。2018年には社会人向けオンラインスクール「hintゼミ」を開講。卒業生は1000名を超え、大手企業社員から経営者、個人にいたるまで多様な受講者が在籍。企業向けの講演実績は数百社におよぶ。組織論、起業論に関する著書も多い。
株式会社hint代表。株式会社ループス・コミュニケーションズ代表。

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