中国とアメリカ、“G2”と呼ばれるほど密接ではない
米政府高官はさまざまな背景説明によって、こうしたグローバル・イシューに関する米中間の協力の進展について自画自賛した。
しかし、対中強硬派を中心に米議会では、今回の人民元弾力化策について懐疑的見方が多く、対中貿易制裁も辞さずという構えを見せている。
中国政府がG20 サミット1週間前の6月19日に人民元の対ドルペッグを緩めると発表したのは、一時的にせよ政治的効果を狙ったことは確かだ。サミットの場で自らをプロブレムメーカーではなく、世界経済の均衡成長を回復させるプロブレムソルバ-としての存在を示そうとしたのだろう。
しかし、人民元の大幅切り上げという市場の期待はすぐにくじかれた。6月20日、中国人民銀行(中央銀行)は人民元の「大幅切り上げの根拠はない」と文書で明らかにした。その後の1週間で人民元は対ドル6.83元から6.79元に上がっただけだ。チャールズ・シューマー議員(民主党、ニューヨーク州選出)をはじめ下院議会の主要メンバーは中国政府に対して怒りをあらわにしている。オバマ大統領、ガイトナー財務長官もともに中国のさらなる前向きな行動に期待を寄せている。
結局、7月8日に発表された為替政策に関する半期報告では、米財務省は中国を「為替操作国」とは認定しなかった。この報告に対する米議会の反応はかなり厳しい。
11月の中間選挙を控えて、議員たちは景気回復のもたつきを非常に心配している。影響力の大きいエコノミストのひとりであるポール・クルーグマン氏は、オバマ政権の控えめな姿勢によって得をしている中国を非難し、また、国際経済研究所のフレッド・バーグステン氏は人民元を20%切り上げることによって米国の対中貿易赤字は1500億ドル削減され、100万人の雇用創出効果があると論じている。