3Dデジカメに熱視線、停滞市場に転機到来?
3次元(3D)の波がデジタルカメラ業界にも押し寄せている。
7月10日、東京・銀座のソニービルのショールームには人だかりができた。お目当ては、3Dの静止画撮影機能を搭載したデジカメ「TX9」(店頭想定価格4万5000円前後)。専用眼鏡をかければ、3Dテレビ上で立体画像を楽しめる。
シャッターボタンを押してから、撮影者を中心に半円を描くようカメラを一振り。1回の撮影で、最大100枚の画像を高速連写。右目用と左目用、2枚の画像を同時に自動生成することで立体画像ができる仕組みだ。
3Dデジカメでは、昨年8月に富士フイルムホールディングスが先行して発売。専用の液晶フォトフレームとセットで投入したが、8万円超という価格が嫌気され、販売台数は数万台にとどまった。
しかし年明け以降、大手家電メーカーが相次ぎ3Dテレビを発売したことで、デジカメ業界でも3D機運が一気に上昇。
折からカメラやビデオの3D化を準備してきたパナソニックは「先行して市場を切り開きたい」と意気込む。まもなくソニーとは異なる撮影技術を採用した、3D対応の撮影機器を投入するもようだ。今秋にかけては韓国サムスン電子など、さらに数社が新製品の投入を予定する。
3D対応機の登場は、デジカメ業界にとって久々の転機と言える。
現況、コンパクトデジカメのほとんどは、メーカー名が違うだけで中身に大きな違いはない。設計が似通っているうえ、外注先も台湾系
など数社に偏っているからだ。