子どもが喜んで「お片付け」し始める簡単な方法 ガミガミ怒るのは親にとっても疲れるもの

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幼稚園や保育園、小学校の運動会の玉入れ競争を思い出してみてください。本来の競技のあとによく行われるお片づけ競争も、仕掛けのひとつです。ただ「玉を片づけてください」と言われてもやる気は起きませんが、「先に全部片づけたチームが勝ち」にすれば、楽しいゲームに早変わりです。

ゲーム要素を取り入れると楽しさが増すので、仕掛けの効果はより高まります。「やらされている」という受け身ではなく、「自分がやりたいからやる」という前向きな気持ちで問題を解決(目的を達成)することができます。ゴミ箱やおもちゃ箱を玉入れカゴに見立てて運動会の音楽を流せば、家庭でも同じように楽しく後片づけすることができます。

ついつい「見たくなる」仕掛け

人は周囲から受け取る情報の多くを視覚に頼っています。そのため、仕掛学でも視覚を利用した仕掛けはたくさんあります。ついつい見たくなる、のぞきたくなるという人間の素直な欲求を仕掛けに利用するというわけです。

以前、大阪の天王寺動物園を訪れたとき、「アジアの熱帯雨林」エリアの通路脇に設置されていた筒を見つけました。立て札や説明書きはありませんでしたが、望遠鏡のように筒の真ん中に穴があってついのぞき込みたくなります。

のぞいてみると、象のフンの模型が。動物園では動物ばかりについ意識を向けてしまいますが、天王寺動物園では動物の住んでいる環境を再現した生態的展示も行っています。

これは、動物以外の見どころにも気づいてもらいたいと設置された仕掛けです。実は、私が仕掛学を研究するきっかけになったのはこの筒の仕掛けでした(注:現在、この仕掛けは撤去されています)

注)現在はこの仕掛けは撤去されています

天王寺動物園にある筒の仕掛けは、何もなければ素通りしてしまうような場所に設置されています。でも筒があることで人は足を止め、中をのぞき込んでフンの模型に気づくことができます。筒が子どもの目の高さに設置されているというのも、この仕掛けの大きなポイントです。シンプルですが、人間の好奇心をくすぐるとてもよい仕掛けです。

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