数字にだまされる人と裏の本質を見抜く人の大差 「ロジカルなつもり」で非論理的という残念な思考
「平均」という世の中の基準を示すべき情報も、往々にして私たちの目を曇らせます。
私たちは「平均」を意識せずにはいられません。テストの結果が「平均」より高いか低いか、自分は「平均収入」より上か下か……。ありとあらゆる場面で人は「平均」を基準に考え、「平均」を根拠に説を唱えたり行動を決めたりします。
しかし、現実を語っていない「平均」が世の中に数多く存在するのもまた事実。
たとえば、「黒人は白人よりも知能が劣る」として、ことあるごとに調査が行われ、その結果がグラフにまとめられています。次のグラフを見てください。
(外部配信先ではグラフや図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
この種の議論では常に「平均」の数値を基準に語られます。たしかに点線の黒人の平均は、実線の白人の平均を下回っています。しかし、この2つのグループはかなり重なってもいます。つまり、平均を見ても、個人についてはほとんどわからないのです。
また、集団のなかで「大きく外れる人」がいると、集団の実情と平均値が大幅にずれることがあります。たとえば、収入調査。一部の富裕層が集団の平均値を押し上げれば、格差のグラデーションは実情と違ってきます。ビル・ゲイツがバスに乗っていれば、「平均的な乗客」は億万長者になるのです。
加えてサンプル数の問題もあります。調査の対象となった母数が少なければ、極端な結果につながりやすく、現実から遠く離れた結果が出やすくなります。
データの出所、サンプルの数、異常値が含まれる危険性、平均値の限界といった「隠れた但し書き」に気づかず数字を鵜呑みにすると、読みを間違えかねないのです。
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