「自己肯定感が低い人」がやってしまう3つの行動 これ以上自分が傷つかないためにやっている

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・完璧主義

典型的な防衛戦略の1つが、「完璧主義」です。物事を完璧に行おうとする「完璧主義者」は、ほとんどの場合、そのことに情熱を捧げたいからではなく、ミスをしたり認めてもらえなかったりすることに不安を感じているために、がんばります。そのような人にとって、「過ち」や「失敗」は自分が不十分であることの証になるため、深い羞恥心を生じさせるのです。

自己肯定感がゆらぎやすい人の大半は、守りの態勢で生活を送ろうとします。他者にスキを絶対に与えないようにするため、ミスを極端に恐れるのです。しかし、完璧主義になると、力がなくなるまで頑張ってしまう恐れがあります。完璧主義のハムスターにとっては、ケージの中にある単なる回し車でも、出世に至るはしごのように見えるのです。だからこそ、すべてのことを正確に行おうと必死になるのです。

・外見にこだわりすぎる

完璧主義のバリエーションとして、「美への極度のこだわり」があります。外見に磨きをける場合、狙いを定めて行うことができます。カロリーや体重をはかったり、髪の毛を染めたり、クリームを買ったりすればいいでしょう。

心の底の自己不信は目に見えないため、簡単には克服できません。そこで、不安定な人の多くは、不安を抱えた自分自身を外見に投影するのです。そうすれば、具体的な方法で対処できるからです。

ところが、外見の美しさが手に入っても、心の傷がきちんと治るわけではありません。反対に、歳を重ねるほど、この防衛戦略で安らぎを手に入れることは難しくなります。

自己肯定感の低さが行動に出る

・わざと失敗する

一方、自分が不十分であることに対して諦めの気持ちを持っている人もいます。この人たちは、子どものときに「私なんかが努力したって、どうせ何も手に入らない」と感じるようなことを頻繁に経験しており、大人になってからも、自分が不十分であることを自ら繰り返し確認しようとします。

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恋愛では、関係が破綻するように行動し、仕事では成功しないように行動します。たとえば恋愛でいうと、パートナーとしてあまり適さない人をあえて選んだり、パートナーが我慢できなくなるような面倒なことをいろいろと起こしたりします。

仕事でいうと、失敗することを怖がって重要な仕事を先延ばしにしたり、だらだらと時間をかけたりすることもあります。ほかにも、やり遂げることができないのではないかという不安から、実際の実力を発揮しないままに終わってしまっている人もいます。

シュテファニー・シュタール 心理学者、心理療法士

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Stefanie Stahl

約30年間の心理療法士、心理学者としての経験、および家庭裁判所鑑定人としての経験にもとづいて、「人とつながることに対する不安」「自己価値感」「内なる子ども」に関する数多くの書籍を執筆。わかりやすく読者の心に寄り添うように書かれた著書の多くがベストセラーになっている。膨大なカウンセリング経験と長年の研究から生み出された、心を改善する著者独自の手法は具体的かつ実践的であるため、専門家の間でも絶賛されている。ドイツのみならず他国でもセミナーを開催。専門家としてのテレビ、ラジオ出演、雑誌の寄稿も多数。

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