BTS、イカゲーム…韓国エンタメ圧倒的人気の必然 世界中で共感を集める理由はどこにあるのか

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Netflixはここ数年で、2016年に韓国でサービスを開始したときに想像していたよりもはるかに多い、80本の韓国映画やテレビ番組を導入したという。11月上旬時点で、Netflixで最も人気のあるテレビ番組10本のうち3本が韓国のものだ。

「『ミスター・サンシャイン』『愛の不時着』『Sweet Home ー俺と世界の絶望ー』を作ったときは、世界的な反応は念頭にありませんでした」。韓国のNetflixでヒットした3つの番組すべてにおいて、共同プロデューサーまたは共同監督を務めたチャン氏は語る。

「私たちはただ、できるだけ面白く、意味のある作品を作ろうとしました。私たちがずっと作り続けてきたエモーショナルな体験を理解し、共感してくれるようになったのは、世界の人々のほうなのです」

アメリカのドラマで「基本」を身につけた

韓国のエンターテインメントに対する需要の高まりは、妻と一緒に『ブルガサル』の脚本を書いたソ・ジェウォンのような独立系クリエーターを刺激した。ソ・ジェウォンによると、彼の世代は『600万ドルの男』や『特捜刑事マイアミ・バイス』など、アメリカのテレビ番組のヒットシリーズを夢中で見るうちに「基本」を身につけ、そこに韓国的な色を加えて試行錯誤してきたと。

「Netflixのような巨大なストリーミングサービスがテレビ番組の配信に革命をもたらしたとき、私たちには競争に参加する準備ができていたのです」

韓国のコンテンツ産業の規模は、半導体などの主要な輸出品に比べればまだまだ小さいものだが、その影響力は計り知れないものがある。9月、オックスフォード英語辞典には「韓流」をはじめとする韓国語由来の単語が26語追加された。北朝鮮は、K-POPの侵略を「悪質ながん」と呼んでいる。中国は、K-POPファンのアカウントが「不健全」であるとして、ソーシャルメディア上で数十個のアカウントを停止した。

韓国が文化的な大国としての力を発揮しているのとは対照的に、中国では政府が主導して同じような働きかけを行っているが、その効果は見られていない。

韓国ではアーティストを検閲しようとする政府の動きはあまり活発ではない。それどころか、政治家は韓国のポップカルチャーを推進し始め、一部の男性ポップアーティストに徴兵制の延期を認める法律を制定した。今月、当局はNetflixがソウルのオリンピック公園に巨大な『イカゲーム』の像を設置することを許可している。

この爆発的な成功は一夜にして起こったものではない。『イカゲーム』がNetflixで最も視聴されているドラマになり、BTSが国連で演説やパフォーマンスを行うずっと前から、『冬のソナタ』のような韓国のテレビ番組や、BIGBANG(ビッグバン)や少女時代のようなバンドは、アジアや世界の市場を制覇していた。しかし、今回のように世界的な広がりを見せるには至っていなかった。PSYの「江南スタイル」は短期的な影響に終わっている。

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