【産業天気図・コンビニエンスストア】既存店低迷続き「曇り」、ただ弁当・総菜のテコ入れなどで復調の方向感も
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
コンビニ業界の景況感は2010年4月から1年を通じて、「曇り」の見通しだ。タスポ(たばこ自動販売機の成人識別装置ICカード)導入によるプラス効果の一巡などで、09年6月以降、業界各社は既存店の前年割れが続いている。ただ、業界各社の第2四半期に当たる6~8月期は、天候不順だった前年同期からの反動増が見込める。中期的にも既存店の活性化で収益改善が見込めそうだ。曇りといっても、薄日の差す天候というのがふさわしい。
既存店の前年割れは加盟店オーナーの収入減に直結するため、各社とも利益率の高い弁当・総菜類のテコ入れに必死だ。
最大手のセブン−イレブン・ジャパン(セブン&アイ・ホールディングス<3382>グループ)の今11年2月期は店舗純増350(前期455)で、デザート、チルド弁当などの中食関連の商品ミックス改善に注力する。2位のローソン<2651>は店舗純増200だが、その4分の3は生鮮コンビニ。前年割れが続く既存店では、新しく始める店内調理で「できたて弁当・総菜」を強化する。今期は200店での導入を目標にしている。
主要各社はサービスメニューも強化している。特にチケット発券は客数、客単価上昇に寄与するため、各社が力を入れている。大手がチケット事業会社の囲い込みに走った結果、セブンはぴあ<4337>と業務資本提携、ローソンは不祥事に揺れたチケット子会社を吸収した。コンビニ3位のファミリーマート<8028>もイープラス(社名はエンタテインメントプラス)に出資している。
今後、消費環境が徐々に改善する中で、コンビニならではの差別化商材やサービスをどれだけ提供できるのかによって、企業間格差が広がっていくだろう。また、海外事業も焦点。中国、韓国などで店舗網拡大に注力しているファミリーマートなどの戦略成果が注目される。
(高橋 志津子=東洋経済オンライン)
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