「独立」に失敗する人・成功する人3つの決定的な差

成功する人は顧客を創造し未来事業に投資する

ここからは、私の失敗体験を中心に話を進めます。かつて私も「雑誌制作」という代表的な下請け的な仕事で個人事業主になったので、まさに「名ばかり独立」のひとりだったのです。

どんなに努力し成長できたとしても、それが料金に反映されないことが続くと、やがて精神的に不安定になっていきました。「コスト削減」の波にもまれ、仕事の単価が一律20%カットされた経験もあります。

それだけでなく、当時の私の最大の問題点は、主要な取引先が「1社専属状態」だったことにありました。これは何を意味するかというと、仕事を失うと同時に「路頭に迷う」ことになります。

目の前の仕事が忙しいという理由から他社への営業活動をほとんどせず、そもそも営業経験がなかったことから、何をどのようにすればよいのかわからなかったのです。まさに、思考停止状態。こうした生活が独立後3年以上続き、いよいよ私は追い詰められました。

「このままでは、何のために独立したのかわからない。少なくとも、自分で値決めできる仕事をしなければ……」。

出版業界全体の「雑誌不況」も押し寄せ、私が携わっていた雑誌は月刊が「隔月刊」になり、最後は年4回発行の「季刊」になりました。つまり仕事量が半分に減り、最後は4分の1になったのです。隔月刊になるころから新規事業の準備をはじめた私は、「待ったなし」の状態に陥ったことで、新たな領域に挑戦すべく一歩を踏み出すことができました。

「未来事業」に投資する

具体的には、活動のフィールドを雑誌から書籍へ移行しました。そこで決めたことは、出版社が発注主となる編集の仕事ではなく、私自らが主体的に動ける「本を出したい人のためのコンサルティング」という領域です。私がこの仕事をはじめた2008年当時は、こうした仕事を行っている人はごくわずかでした。

こうして、顧客に対して直接「値決め」ができるようになり、獲得した実績に応じて「値上げ」することも可能になりました。その後、ドラッカー理論をベースとした経営戦略を本格的に学ぶようになり、次々と新たな仕事や商品を増やすことができるようになったのです。

一方、個人事業主としてうまくいく人は、下請け的な仕事のリスクをよく理解し、早い段階から自分で顧客を創造することに果敢にチャレンジしています。主要な取引先は最低3社以上。1社が打ち切りになったとしても大きなダメージは受けにくいのが特徴です。

もちろん、仕事の構造的なこともあるため、下請け的な仕事自体を否定するつもりはありませんが、これから独立する人には「下請け仕事は◯割まで」と一定の割合を設けることを推奨しています。それが、個人事業主として豊かな人生を送る最大のコツでもあるのです。

もう1つ大切なことがあります。あなたにどんなにすばらしい能力や技術があったとしても、未来永劫、将来が約束された事業などありません。今回のコロナ禍のように、ある日突然、外的要因によって事業の存続が困難になってしまうこともあるのが独立人生です。

こうしたことが、会社員と個人事業主の最も大きな違いかもしれません。つまり、個人事業主として独立したからには、あらゆるリスクに「備える」ことが求められます。

そのために、何をすべきか。できる人は、本業が立ち行かなくなり転びそうになったときに「つえ」のような存在となる事業をあらかじめ準備しています。私はそれを「未来事業」と呼んでいます。未来事業は将来の「主力事業」に置き換わる可能性を秘める事業のこと。この「未来事業」の有無が、個人事業主の生命線でもあるのです。

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