3つ目のカギは「インプットの評価」。『「学力」の経済学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、中室牧子著)によれば、小中学生を対象にした海外の実験で、アウトプットに対して報酬を与えた場合と、インプットに対して報酬を与えた場合には、後者のほうが学力がグンと上がったという結果があるそうです。
例えば、アウトプットは、テストで100点を取ったらご褒美がもらえるような場合。短期的にはいい点を取るために頑張りますが、点数ばかり意識してしまい、満点を取れなかったときなどに一気にやる気をなくしてしまうリスクがあります。
一方、本を1冊読んだらご褒美がもらえるような場合がインプット。プロセスの評価なので内発的動機につながりやすいといいます。ぜひインプットを意識してトークンを活用しましょう。
――トークン、とくに学級内通貨の本格活用は、経験や力量が問われそうです。
トークンがうまくいかなかったという話は、確かに若手の先生からよく聞きます。自分の日常を考えてみるとよいかもしれません。
例えば、僕は今、ダイエットのために任天堂のフィットネスゲーム『リングフィット アドベンチャー』に挑戦しています。継続できているのは、つねに励ましの言葉をもらえるし、コインが貯まるとゲーム内でお買い物ができるし、筋力測定などで成果も確認できるから。報酬と成長の実感があるからなんです。
そんなふうに効果が体感できると、ポイントがつかめるかもしれません。でも、どの実践も万人に通用するわけではありません。興味があったらアレンジしてもらえるとうれしいです。

1978年生まれ、北海道出身。東京都の公立小学校教員として14年間勤務。2016年、主に病気休職の教員の代わりに担任を務める「フリーランスティーチャー」となる。これまで公立・私立合わせて延べ11校で講師を務める。NPO法人「Growmate」理事としてマーシャル諸島で私設図書館建設にも携わる。近著に『マンガでわかる!小学校の学級経営 クラスにわくわくがあふれるアイデア60』(明治図書)
(写真:田中氏提供)
(文:編集チーム 佐藤ちひろ、注記のない写真はタカス/PIXTA)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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