ご褒美は悪ではない!「トークン」の凄い学習効果 報酬活用で注意すべき重要ポイントは3つだ

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自主学習以外の活動で使う通貨は、子どもたちが描いたキャラクターカードにしました。5枚で1回ガチャを引けるようにするなどさらに楽しめる工夫もしています。

今年は子どもたちが描いたキャラクターを学級内通貨にしているので、盛り上がることもしばしば
(イラスト:田中氏提供)

――全員が学級内通貨のシステムに乗れますか?

「学級内通貨なんて興味ない」という子はいます。だけど、周りの子が集めているからか、しだいに「欲しい」と言い出すんですよね。それだけ活発に流通させています。

例えば、SDGs(持続可能な開発目標)の授業でアップサイクルを学んだ際、実際に体験しようと廃材で物を作り、学級内通貨で売買できるようにしました。売れ行きが悪いと価格設定を変えたりパーツを替えたりと、自発的な工夫が生まれて面白いですよ。

ある時は、子どもたちが工作素材をあまりにぜいたくに使うので、学級内通貨で僕から購入する決まりにしました。すると、みんな節約意識が高まり、紙の端まで使うようになってゴミがすごく減りましたね。

スマホ決済による個人間送金のように、友達間の譲渡も認めています。だから、忘れ物をしたときに学級内通貨を渡して友達から借りたり、発表した友達に「よくがんばりました」というお手紙とともに学級内通貨を添えたりする子も。トラブルもありますが、「トライ&エラーから学ぶ機会」を保障したいため、その都度「どうしたら楽しくトークンを使えるか」を話し合っています。

学級内通貨を使う先生は割といますが、ここまでの流通はあまりないかもしれません。学級内通貨が流通して価値を持ち始めると、こんなふうに子どもたちの間でいろいろな工夫やプラスが生まれていきます

「ご褒美」で注意すべき3大ポイント

――トークンの活用で注意したい点はありますか。

「ご褒美(報酬)が得られなくなるとよい行動が見られなくなるのでは」「ご褒美が目当ての取り組みは一過性にすぎないのでは」といった批判はよくあります。そこは確かに注意すべき点で、トークンを用いる側の姿勢が重要になるでしょう。

ポイントは3つ。まずは「明確な目的とルールの共有」が前提です。例えば自主学習なら、「自分のため」であるという目的や、「自主学習の提出がレベル1、時間を決めてやるのがレベル2」など目指す姿を伝え、そこに向けて取り組んだ姿勢や結果に対してトークンを渡すことを日常的に説明します。

与える基準は、子どもたちと話し合って決めて共有。何でもかんでも与えると、インフレを起こして子どもの目的はトークンになってしまいますし、基準がないと「あの子のときにはあげたのに、この子のときにはあげなかった」と不信感につながるからです。明確な基準を作ったうえで、出し惜しみしないことが大切です。

2つ目に大事にしたいのは「成長の実感」です。トークンを与えるときは「ここを頑張れたね」などポジティブな評価の言葉もきちんと伝え、子どもが自分の頑張りを感じられるよう努めます。

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