介護で東京と岩手を往復する男性が得た「気づき」 遠距離に住む親の介護をする人たちの工夫

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● ホームヘルパーに依頼できないこと

ホームヘルパーは「家政婦さん」ではないので、できないこともあります。たとえば利用者以外の介助(同居家族やペットの世話、庭の手入れなど)、そして医療行為や金銭の取り扱いはできません。親が必要としているサービスを考えて、ケアマネジャーに相談しましょう。

通所介護について

「通所介護」とは、施設に通って、日帰りで介護を受けるサービスです。
目的によって2種類あります。

・デイサービス

食事やレクリエーションなどのほか、入浴介助も利用できる通所介護サービス。基本的に車で送迎もあるので移動に伴う心配はいりません。数時間離れることで、介護者が自分の時間を確保することにもなります。また、利用者にとっても、同世代の友達と会えるのもメリットです。

プログラムは、施設によって異なります。散歩が多いところや、カラオケが多いところ、利用者それぞれが自由に過ごすためにプログラムを固定しないというところもあります。本人の好みに合わせて、「ここがいい!」というところが見つかるまで体験を重ねてみるといいでしょう。

・デイケア

リハビリが必要な人のための通所介護サービス。食事や入浴介助も付随していますが、リハビリ目的のみの短時間利用もできますので、デイサービスに抵抗のある親には心理的負担が少ないかもしれません。慣れてきてから時間を長くするなど、段階的に利用していってもいいでしょう。

● ショートステイについて
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施設に短期間宿泊し、介護や機能訓練を受けるサービスです。食事や入浴、トイレなどの介助を受ける「短期入所生活介護」と、医療上のケアを含む介助を受ける「短期入所療養介護」の2種類があります。連続利用できる日数は最大30日までです。

親は利用を嫌がるかもしれません。けれども、出張や冠婚葬祭、疲れ、病気などで家族による介護ができなくなることもあります。少しずつでも慣れておいてもらえると、親子双方にとっての安心感につながるでしょう。

こうした介護保険サービスは、親のニーズを考えつつも、ケアマネジャーと相談しながら組み立てるのがコツです。ケアマネジャーとつながっていない人は、早めに親の住む区域の「地域包括支援センター」で相談してみましょう。

上田 惣子 イラストレーター

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うえだ そうこ / Souko Ueda

イラストレーター歴30年。数々の実用書や女性誌などで描いてきたクスっと笑えるコミックエッセイには定評がある。著書に『マンガ自営業の老後』(文響社)、『うちのネコ「やらかし図鑑」』(小学館)など多数。

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太田 差惠子 介護・暮らしジャーナリスト

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おおた さえこ / Seko Ota

AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)。さまざまなメディアや講演会を通して介護にまつわる情報を発信。著書に『親の介護で自滅しない選択』(日経ビジネス人文庫)など多数。

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