反撃はある?冷や飯組「河野・小泉・石破」次の一手 「次の首相候補」で人気の3人が組んだのに完敗

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そうした中、4度総裁選に挑み、今回は河野氏の支援に回った石破氏の立場は厳しさが増す。

石破氏は10月1日に地元鳥取で記者会見し「河野さん、小泉さん、私が一致してやっても打ち破れない壁ってのはすごいんだなぁと」と苦笑したうえで、「それにびっくりしてくじけちゃどうにもならん。壁が厚いと認識したら、もっともっと頑張らないと」と再挑戦への意欲をアピールした。

しかし、政界では地元会見の前に「政界引退」や「離党」「派閥解散」などの臆測が飛び交った。自身が率いる石破派から2人が離脱して現時点での勢力はわずか15人。しかも衆院選後にはさらに数が減る可能性もある。

石破氏は会見で「私自身、自民党公認候補として12回目の選挙になる。(石破派の仲間を)一人残らず(国会に)帰ってこられるようにしたい」と語った。しかし、党内からは「もはや石破氏は総理総裁候補たりえず、石破派も存在意義を失った」との厳しい声が多い。

菅前首相、二階前幹事長に対する冷遇ぶりも際立つ

「安倍・麻生忖度人事」との批判が渦巻く岸田新政権の陣容だが、際立つのは「小石河」連合と、総裁選で岸田氏と対峙した菅前首相、二階俊博前幹事長に対する冷遇ぶりだ。そのため、党内の一部には「冷や飯グループの反転攻勢で、菅グループが合流し、小石河連合も取り込む」との噂も飛び交う。

「二階派を菅派に衣替えし、石破派と河野、小泉両氏も取り込めば、細田派に対抗できる巨大な反主流派が結成できる」(二階氏周辺)との構想だ。ただ、そのこと自体が「冷や飯組の置かれた立場の厳しさの表れ」(麻生派幹部)でもある。

もちろん、岸田首相の前途は平坦ではない。「ご祝儀相場で勝てるほど次の選挙は甘くない」(自民選対)のは当然だ。冷や飯組の反転攻勢も含め、衆院選直後の11月には「ポスト岸田への自民党内の戦いが始まる」(自民長老)ことだけは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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