アマゾンの「残酷ノルマ」取り締まる新法の衝撃 カリフォルニア州がノルマの上限を設ける動き

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アマゾンの倉庫で働く作業員のノルマに上限を設ける法案がカリフォルニア州で可決され、話題となっている(写真:Chang W. Lee/The New York Times)

アマゾン・ドット・コムの労働慣行に対する批判が強まる中、カリフォルニア州議会上院は9月8日、倉庫作業員のノルマに上限を設ける法案を可決した。

賛成26、反対11で上院を通過した同法案は、1つにはアマゾン倉庫で負傷事故が頻発している事態を受けて書かれている。州が義務付けている休憩が取れなくなったり、必要なときにトイレに行けなくなったりするノルマ、健康・安全関連の法律に背くようなノルマを従業員に課すことを禁じるものだ。

原案を5月に可決した州議会下院は、上院で可決された法案を近く承認する見通し。

ギャビン・ニューサム州知事は上院の採決前の段階では、法案に署名するかどうか自身の考えを明らかにしなかったが、同氏の側近は一部規定を和らげるのに関与していたため、法案の成立は既定路線とみられている。

アルゴリズムを標的にした画期的法案

この法案はアマゾン倉庫で行われているような作業ノルマのアルゴリズムによる追跡の規制とプロセスの透明化を狙っている点で画期的だ、と専門家らは言う。

「作業員を監視し、作業速度を上げるよう急き立て、ノルマを達成できなかったときに従業員を罰する能力は、競合他社に対するアマゾンの最大の強みの1つだろう」。そう話すのは、イリノイ大学シカゴ校の都市経済開発センターで研究責任者を務めるベス・グテリウス氏だ。

倉庫業務と物流が専門の同氏によると、「職場でのテクノロジーの導入のあり方について、このような形で介入する法案は前例がない」。

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