価格崩壊に債務超過も、「ホテル生存競争」の過酷 続く外出自粛で見えぬ回復の兆し、極まる困窮

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ビジネスホテルも全体の稼働率は40%付近の推移だ。同業態は「競争が厳しく稼働率が80%を超えないと値上げできない」(業界幹部)と言われており、到底黒字化できるレベルではない。

黒字を確保する郊外型ホテルもあるが、本来の価格水準には戻せていない。当面は地域や近隣ホテルの価格をにらむ、1円単位の消耗戦が続く見通しだ。

東京、大阪にまして厳しいのは京都だ。国内観光客の戻りは極めて鈍く、6月の宿泊施設の稼働率は17.3%。全国最下位の奈良と同レベルだった。

予約サイトをのぞくと、価格崩壊の実情は衝撃的。大手ビジネスホテルでもツインルーム宿泊で1泊3000円台(2人利用)。中には7連泊以上で1人1泊1400円(同)のプランもある。秋の行楽シーズンでも、需要が復活するとは見ていないのだ。

横浜のシンボルが債務超過に

首都圏では横浜も価格下落が目立つ。高級ホテルであっても1人1泊1万円を下回り、5000円台のプランすら散見される。

直近までみなとみらい地区は開業ラッシュだった。2019年に2300室超を誇るアパホテルやインターコンチネンタル横浜Pier8が出店。2020年にはオークウッドスイーツ横浜、さらにカハラ・ホテル&リゾート 横浜も出店している。

横浜は需要、競争環境ともかなり厳しい。9月には横浜市が統合型リゾートの誘致撤回を表明するなど、今後の戦略見直しが求められる(記者撮影)

訪日客やMICE(大規模国際会議や見本市などを開く施設)、都市開発による需要をつかむ目論見はコロナによって砕かれた。「外資を含め供給がかなり増えたが、横浜は日帰り客も多く、過剰になっている」(横浜のホテル幹部)。

そんな中、1991年に開業し地域のランドマークでもある「ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル」(運営会社・横浜グランドインターコンチネンタルホテル)は大幅な需要減が影響し、2020年12月末、債務超過に転落している。

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