共感しにくい「結婚後も恋愛したい男」の言い分 人は「寂しさ」とどう向き合うべきか

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「すごい数の女性からお見合い申し込みをもらって絞り込みました。それでも週に1回は誰かとお見合いしていたと思います。でも、長続きはしませんでしたね。長くて3カ月ほどです。私は寂しがりなので1人は彼女として確保していないと焦ってしまいます。そのうえでよりよい物件を探していました。結婚していなければ浮気ではありませんから」

恋愛対象となる女性は「物件」

恋愛対象となる人を「物件」と例えるあたりで卓也さんの身勝手な性格が垣間見える。しかし、よりよい人を見つけたいと望むあまりに誰とも信頼関係を築けないのは婚活の場でよく見かける現象だ。

卓也さんには元婚約者という「バイブル」があった。どんな女性もその絶対的な基準と照らし合わせてしまって結婚には踏み出せなかったと弁解する。前向きに行動しているようで心はずっと過去にとどまっていたのだ。

そのうちに卓也さんは恋愛ゲームにハマった。気づけば、真面目な友だちは次々に結婚していき、「遊び続けたい仲間」のコミュニティに入っていたという。そして、どれだけ大きな「メダル」をたくさん集められるかに邁進していた。

「アナウンサー、モデル、ショールームのコンパニオン、女子大生、CA……。一通りのメダルは集めました。ただし、その獲得にも維持にもエネルギーを消耗します。ゲームは楽しいけれど自然体な自分じゃないのでキツイのです。目標の100人には到達しませんでした」

同情しにくい疲弊である。卓也さんもバカではない。「縛られるのは嫌だけど寂しがり」であることは自覚していた。そろそろ本気で結婚相手を見つけたいと思っていた頃に、マッチングアプリで「見た目も雰囲気もいい」女性と出会えた。それが大手企業で総合職として働いている智子さんだ。

「ちょっとあか抜けないけれど、物腰が柔らかくて落ち着いていて知的な女性です。この人なら言い合いにならず価値観をすり合わせながら暮らせると思いました」

元婚約者が旧約聖書ならば智子さんは新約聖書だと例える卓也さん。うまいこと言おうとしないでいいので、智子さんとはちゃんと向き合ったのかを教えてほしい。

「出会って半年後には同棲を始めました。妻のマンションの更新時期だったので、『うちに来ちゃいなよ』と誘いました。同棲するのは初めてです。行動が縛られるのは嫌だったのですが、このタイミングを逃しちゃいかんと思いました」

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