韓国でも激戦、LCCが長距離で差別化 ホノルルやシンガポールへ、飽和状態から脱出

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現在、韓国ではジン・エアー以外にも、済州(チェジュ)航空やエアー釜山、イースター航空、ティーウェイ航空など5社が、シェア争いを繰り広げている。また最近になって、アジア最大のLCCであるエア・アジア、日本の代表的なLCCであるピーチ・アビエーションなど、外国のLCCが韓国に進出。競争はより熾烈になっている。いずれも韓国市場を有望市場と見なしており、攻撃的な営業を仕掛けている。韓国LCCとしては、時間が過ぎれば過ぎるほど飽和状態になる短距離路線に固執せず、長距離路線を開拓する必要が高まっていた。

韓国LCC市場は成長を続けている。韓国国内線では、7月現在でLCCのシェアが5割を超えた。国際線でも1割を超えるシェアを占めるに至り、既存の航空会社を脅かしている。

だが、見方を変えると今後この市場が停滞しうる、という意味にもなる。実際、より詳細に見ると、話は変わってくる。韓国・国土交通省によれば、今年5月時点での韓国国内路線に占めるLCCのシェアは50.8%で、前年同月と比べ3%ほど高まったが、例年よりは勢いが鈍化している。

2010〜11年には6.8%、11〜12年には3.4%、12〜13年には4.5%、シェアが高まっていたためだ。国際線のシェアも11年5月から12年5月までは3.4%上昇したが、昨年5月から今年5月までは2.1%の成長にとどまった。国内・国際線ともに、勢いにかげりが見られてきたのだ。このため、ジン・エアーに続いて、長距離路線への就航を準備している会社も出てきた。

既存航空が親会社のほうが有利?

たとえばエアー釜山は、18年までにシンガポールなど長距離路線への参入を内部方針としている。釜山から米国西部まで12時間以上の長距離運行が可能な、エアバスのA330の導入を検討中。一時期、同社の親会社であるアシアナ航空が2つめのLCCを設立するのではないかとの噂も流れた。これについてエアー釜山関係者は「長期的な観点から見ると、長距離路線への就航は自然な流れ」と言う。同社は、仁川国際空港を起点に国際路線に就航するライバル会社とは違い、先んじて長距離路線への進出を急ぐ必要はないと考え、2〜3年間は準備に時間をかける計画だ。

韓国トップの済州航空も、長距離路線への進出を準備している。今年下半期中に進出が妥当かどうか検討に入るという。同社関係者は「進出時期や導入機種など全般的に考慮すべき状況に来ている。中国路線の事業性が今よりいくぶんでもよくなるかどうかが、進出時期の決定に作用するだろう」と述べた。

06年に行われた中韓航空交渉で、中国の一部地域で航空自由化がなされ、路線は大幅に増えた。今年5月にも各社が一部路線を確保し、会社側としては、より多くの地域に就航できるとの期待が膨らんでいる。済州航空関係者は「短距離で開拓すべき路線がまだ多く残されていると思う。これに制限がかかる場合には、価格競争力を持つLCCがいくらでも進出できる市場」と付け加えた。

前述したLCC各社は長距離路線への就航に積極的な姿勢を見せる一方、イースター航空やティーウェイ航空は相対的に消極的な反応を見せる。イースター航空関係者は「長期的には進出を検討すべきだが、当面は新機材導入などの計画はない。現在は中国路線に集中する予定だ」と打ち明ける。また最近になって身売りの話が出ているティーウェイ航空も、これといった計画はないものとされている。業界関係者は「中長距離用の機材導入には費用がかかるだけでなく、パイロットや整備士などの人材も必要となる。大手航空会社が親会社であるジン・エアーやエアー釜山は、そのためのインフラもあり、有利だ」と説明する。

(韓国『中央日報エコノミスト』2014年8月18日号、『中央日報エコノミスト』は『週刊東洋経済』と提携関係にある、韓国有数の経済誌です)

イ・チャンギュン 韓国『中央日報エコノミスト』記者
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