埼玉・小川町メガソーラー、希少野生動物への懸念 予定地で絶滅危惧種のミゾゴイとサシバが繁殖
問題のメガソーラーの正式名称は「さいたま小川町メガソーラー」。小川エナジー合同会社が事業主で、面積86ヘクタールの広大な区域に太陽光パネルを敷き、出力3万9600kwの発電所を建設する。森林の伐採面積は29.9ヘクタール。予定地から北東に約3キロメートル離れた町有林で環境教育活動を行う「小川町里山クラブYou-You」が作成した図を見ると、規模感がつかめる。
ミゾゴイの囀りを4カ所で確認、新しい巣にいる親鳥を観察
「初めて聞く人には、鳥の声とは思えないかもしれない。ウシガエルのような低い声で、今回録音された声は、350ヘルツでした」。音声解析を担当した小林みどりさんは、そう明かす。図鑑やハンドブックにはボェーボェー、ウーッウーッなどと書かれているミゾゴイの鳴き声。重低音の鳴き声は、500メートル先でも聞こえるという。
「ICレコーダーは、4つの古巣に対して3カ所に設置しました。回収・交換時に鳥を驚かさないよう、古巣から歩いて10分くらいの場所を選びました。ミゾゴイが囀(さえず)る日没後2時間、夜明け前2時間の音を小林さんが解析したのです」(鈴木さん)
その結果、4カ所すべてで、ミゾゴイの囀りを確認した。さらに、6月に入り、鈴木さんらは、古巣周辺を調べた。6月12日午前、1カ所の古巣の約10メートル先、エノキの木の上に新しい巣を発見した。その下の地面や草の上には、卵の殻の破片や、糞が散らばっていた。サンプルとして採集し、地元の鳥類研究者に見てもらった。
その日午後、鳥類研究者らと一緒に現場に戻った。見通しのよい場所に立つと、新巣に親鳥が座っているのが見えた。ミゾゴイは、警戒すると首を長く伸ばす「擬態」で知られる。周囲の木立に自分の姿を溶け込ませるかのようだ。鳥の観察者の間では、ミゾゴイが巣を作ってそこに片方の親が座っている場合、抱卵中と解釈するという。まさに「ミゾゴイの繁殖」を確認した一瞬だった。
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