意外と知らない保育園「公立と私立」何が違うのか 減少傾向の公立保育園が担う「社会的役割」とは

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「市区町村直営」の公立保育園の主な特徴としては、以下の点が挙げられます。

①ベテラン保育士が多い
前述のように「公立保育園の職員=地方公務員」のため、安定して長く働く人が多く、ベテラン保育士が多いのが公立の一番の特色と言えます。
②広めの園庭がある園が多い
小規模保育以外の公立には、たいてい広めの園庭があります。土地利用がこんなに進んでいない時代に、ゆとりをもって建てられた園が多いからです。
③園舎が古い園が多い
広めの園庭がある一方、園舎は古い感じがするところが多いでしょう。建て替えを機に私立にされてしまう(民営化)こともあります。
④保育の質が均質化されている
保育内容の面では、私立がよい意味でも悪い意味でもバラエティに富んでいるのに対して、公立はよく言えば粒がそろっている、悪く言えば横並びの傾向があります。同じ自治体の公立施設同士では職員の異動があるし、「公平性」を重んじる方針から園による差をつくらないようにする傾向があるため、均質化されているのだと思います。

ベテランが多いことはプラスか?

「保育の質」は保育士の資質に大きく左右されるといっても過言ではありません。子どもの安心や発達(教育)にとって、保育士が子どもにどうかかわるかがとても重要だからです。多くの場合、子どもにとって保育士は親の次に影響を受ける存在になります。その点では、ベテラン保育士が多い公立はポイントが高いということができます。

ただし、「ベテラン保育士が多い=保育の質が高い」とは言えないという意見もあります。年配の保育士の中には、子どもを号令で動かす一斉保育の時代の習慣がしみついていて、子どもの主体性を大切にする現代の保育手法に適応できない人もいるからです。

また、公立は融通がきかない、決まり事が厳しめなどの不満を聞くこともあります。ただし、これらは私立でもあるし、公立もブラッシュアップしていて、そのあたりはだいぶ変わっているようです。入園してみたら、なんでも柔軟に対応してくれるあたたかな園だったという感想も聞きました。

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