三菱電機、再び不祥事「変わらぬ後手対応」の唖然 社長交代2日後に検査不備をHPで公表したが・・・
本社の広報部は「これまでも(ほかの不正が見つかった2016年以降に3回)全社的な総点検をしてきたが、不正は見つけられなかった」と説明する。こうした姿勢に、前出の販売代理店の関係者は「本社のグリップが効かず、事業部の縦割りが温存されるのでは」と危惧する。
また、別の代理店関係者は「調査があるまで自分たちで何とかしようという意識がない」と批判する。この関係者は「こうした事態(鉄道用装置の検査不正)があったのだから、他部門でも顧客へお詫びや説明をしようとする姿勢があってよいはず。それが全然ないから、代理店側から『顧客に説明に行くべきだ』と指摘した」と事情を明かす。
そもそも調査委の活動頼みでは、組織風土もスピード感を持って変わることは難しい。社員からは「いつになったら全社調査が終わるかわからない。全容がわかるまで数年かかるのではないか」とあきらめにも似た声が上がる。
需給逼迫が不幸中の幸いか
ここまで対応が後手に回ると、懸念されるのが顧客離れだ。しかし実際には、企業の設備投資が改善傾向にあることを受け、FA(ファクトリーオートメーション)システム関連が好調のほか、空調関連も引き合いが強い。
7月29日に発表された2021年4~6月期決算では、同期間として過去最高の売上高と純利益を達成した。一連の不祥事対応費用を織り込んでも、今2022年3月期はコロナ前の業績水準を上回るとみられる。
半導体不足によって空調機器などの製品供給がタイトになっており、顧客が気にするのは品質問題よりもむしろ納期を守れるかどうかだ。「通常だと(不祥事を受けて)他社への乗り換えも検討されると思うが、他社も需給は逼迫している。それどころではない」と、ある代理店幹部は話す。
数多くの問題が起きても経営危機に陥らないのは、インフラ向けなど安定したポートフォリオを持っていることや、今回のように需給逼迫のタイミングと重なる「時の運」の要素も大きい。ただ、そのことが改革の遅れにつながったと見る向きもある。今度こそ「仕切り直し」できるのか、改革への三菱電機の本気度が問われている。
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