三菱電機、再び不祥事「変わらぬ後手対応」の唖然 社長交代2日後に検査不備をHPで公表したが・・・
変わらない体質の1つが報告体制だ。
三菱電機によると、現場の冷熱システム製作所が問題を発見したのは7月15日。ところが事実確認に手間取り、製作所から本社に報告があったのは7月20日のことだった。その後も対応の検討に時間を要し、ホームページへの掲載は発覚から約2週間後となった。
その間、7月28日には漆間新社長就任に当たっての記者会見があった。
会見で「生まれ変わる当社の姿を示せるよう先頭に立つ」と宣言した漆間氏。しかし検査不備の話は会見後の夜まで、漆間氏に報告されなかったという。社長の意気込みとは裏腹に、就任初日から「組織の壁」に阻まれたかたちだ。
「時間がかかりすぎだ。顧客よりも、組織内での手続きのことばかり考えている」。三菱電機の製品を扱う販売代理店からは憤りの声が上がる。
検査不備に関する販売代理店への説明は、8月2日にようやく始まったという。「三菱電機は早くから把握していたのに、これまでわれわれへ何の説明もなかった」と、代理店の関係者は不信感を隠さない。
社長交代後も後手後手の対応に
問題発覚後の発表が遅れる事態は、これまでにも相次いでいた。2019年のパワー半導体での検査不正では、発覚から顧客への説明に8カ月も要した。今回の社長交代の決め手となった鉄道用装置の検査不正でも、問題を把握しながら株主総会の場ではそれを伏せたままにしていた。
社長交代後も、問題対応のスピードの遅さはいっこうに変わらない。「『自らがやめることで重大さを知ってもらう』と杉山前社長が辞任したのに、結局同じように後手後手の対応だ」。三菱電機のある中堅社員はため息をつく。
今回の業務用空調での不祥事は、6月の鉄道用装置のときと異なり、広報発表はせずにホームページの掲載のみにとどめた。その理由について同社広報部は「(意図的に隠すなどしていた)『不正』ではなく、『不備』だからだ」と説明する。後ろ向きな開示姿勢も相変わらずだ。
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