乳幼児が危険!感染過去最悪「RSウイルス」の正体 新型コロナだけじゃない「医療崩壊」のリスク
昨年はRSウイルスの流行がまったく起きなった。新型コロナウイルスの感染拡大で、保育所や幼稚園が休園となり、自宅に籠もっていたことが大きな原因とみられる。インフルエンザの流行も起きなかったことから、「新しいウイルスが幅をきかせて、既存のウイルスを押し退けていたのではないか」という専門家もいる。
いずれにせよ、それだけにかえって、RSウイルスの感染爆発を危惧する声は高まっていた。
「昨年はウイルスの活性化がなく、それだけ暴露していない子ども、免疫を持っていない子どもが増えたことになります。それで流行が始まると、その子どもたちにも広まって、例年の2倍、3年空けば3倍となっての感染爆発が恐れられていた。それがいま、そのとおりに起きてしまった」(小児科医)
現場の声は「実際の患者はもっと多い」
この流行の始まりは沖縄だった。それが鹿児島から九州に広がって、北上するように全国に広がり、首都圏にまで到達した。その東京が異常事態となっている。
東京では今年になって定点医療機関当たりの報告数が1以下で推移してきたものが、21週に1.03を記録すると、そこから急激に感染者数が増え始め、28週には8.92、感染者数は全国で最も多い2302人となっている。過去最悪が2017年35週の3.17だったから、その倍を超えている。しかも「これは定点地の数ですから、実際の患者はもっと多い」というのが医療現場の声だ。
最新の29週(7月19日~)の数値では、6.60と数値が下がりピークアウトしたようにも見受けられるが、「この週は東京オリンピックの開幕に合わせて4連休が入った。医療機関も休んだところが多い」(東京都感染症情報センター)というから、予断は許さない。
これに追随するように神奈川、千葉でも28週の数値で7.31、8.6を数える。また、宮城、新潟、石川、三重、和歌山、高知でも定点当たりの感染者数が10を超え、徳島では20を超えた。
この状況に、東京や神奈川の小児医療の現場は危機感を募らせている。神奈川県立子ども医療センター感染免疫科の今川智之部長は言う。
「横浜市では昨年の流行がなかったこともあって、小児病棟を成人向けの新型コロナウイルスの入院患者にあてた。新型コロナウイルスが子どもに感染しにくく、重症化しないということもあった。緊急を要する医療資源の振り分けです。そこにいままでにないRSウイルスの感染爆発が起きて、入院しようにも場所がない状態になっている」
東京でも状況は同じだ。しかも東京都での新型コロナウイルスの新規感染者数はここへ来て急増し、28日に3177人と初めて3000人を超えると、翌日には3865人の過去最高を記録。その翌日も3300人と高止まりしている。これに伴って重症者、中等症の患者に入院が必要となれば、いまさら小児科病棟を空けることもできない。
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