ベネッセ、垣間見えた顧客流出の代償 第1四半期は最終赤字に転落。通期予想も「未定」に

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新規入会者を早期に取り戻したいベネッセは8月中旬にも顧客管理システムの安全宣言を打ち出す方針だ。運営面に問題があったとしており、ガバナンス体制を整えたことをアピールするとみられる。さらに8月下旬をメドに事故調査委員会が顧客情報漏洩に至った調査内容を公表する予定。ベネッセはその後に販促活動を再開したい意向とみられるが、顧客感情などもあり、思惑通りに進むかどうかは不透明だ。

7月22日の会見でベネッセが明らかにした流出件数は少なくとも約2300万件。会員としての登録がなかった人も漏れていたことがわかった。いまだ流出の全容が把握できておらず、名寄せも難航しているようだ。

学習塾にも影響

顧客への補償内容などは今後決定するというが、200億円の補償額は一人当たり500円分の補償が前提とみられる。簡易書留や印刷・郵送費など合わせると一人当たり900円以上の費用がかかり計算が合う。ただ流出件数の増加や出産日などの情報漏れを重くみれば、もっと補償額が上がる可能性も否定できない。

また連結子会社の学習塾にもじわり影響が出ている。ベネッセグループの東京個別指導学院は「ベネッセの顧客情報漏洩以降、退会などはないが、入会の新規問い合わせ件数減った」(幹部)と明かす。同塾はベネッセとデータベースが異なり顧客情報漏洩はないが、ベネッセグループということを顧客に強く打ち出した矢先だった。

ベネッセグループの財務体質は強固なことに加え、従来に比べて介護や語学スクールなどへ事業領域が広がっており、今回の件がすぐに会社の業績を揺るがす事態にはならないかもしれない。ただ、本業の通信講座で失った信頼やブランド力を取り戻すのは簡単ではない。新社長に就任した原田泳幸氏の手腕が問われる。

(撮影:吉野純冶)

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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