FRBパウエル議長は「金融緩和縮小」に動くのか FOMCでのテーパリング開始時期の言及はあるか
さらに、今回の消費者物価指数には反映されなかったが、経済活動が急速に正常化に向かうなか、アメリカの都市部で再び家賃が上昇傾向にあることにも十分な注意が必要だ。不動産仲介大手のダグラス・エリマン社によると、5月のNYマンハッタンのアパートの家賃の中間値は月に3037ドル(約33万4000円)と、4月から8.8%上昇。ここ10年間で最大の伸びとなった。
前年比では依然として11.1%の下落となっているが、この先人々の移動が活発になってくるにつれ、上昇基調が強まる可能性は高いと見ておいたほうがよいだろう。家賃はその性格上、一度上昇すると簡単には下がりにくく、長期的なインフレにつながるとされている。
利上げは先でも、テーパリングは意外に近い?
パウエル議長は議会証言で「金融政策を変更するのはまだかなり先」との見方を明確に示している。だが、これは利上げの時期を想定してのものと思われる。すでに「テーパリングの開始時期に関しては、6月のFOMCで議論を行ったことを明らかにしており、次のFOMCでもさらに議論を進めるとしている。
また政策に何らかの変更を加える際には、前広に市場に周知していく意向も明確に示している。さらに「インフレは一時的な要因によるもの」としながらも、当局はインフレに対処する手段は十分に擁しており、インフレに長期化の兆候が出てきた際には、速やかに行動に移すとも発言している。
パウエル議長自身は、早期の政策変更には慎重なのかもしれない。だが、状況がさらに変化した場合には、しっかりと準備しているということなのだろう。
前出のように、6月のFOMCにおけるドットチャートの変化を見ても、それまでハト派的な姿勢を見せていたFRB高官の何人かが、タカ派的な方向に方針転換したのは明らかだ。
今後のFOMCで、参加者から早期のテーパリング開始を求める声が強まるのは間違いないだろう。パウエル議長もそれをまったく無視するわけにもいかなくなるだろう。今回のFOMCの声明文やその後の議長会見において、テーパリング開始のスケジュールについて何らかの具体的な言及がある可能性は、かなり高いと見てよいのではないか。はたして、そのときに市場はどう反応するのか。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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