FRBパウエル議長は「金融緩和縮小」に動くのか FOMCでのテーパリング開始時期の言及はあるか

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もっともCPIは、3月に前月比0.6%の高い伸びとなって以降、4月が0.8%、5月が0.6%と、すでに4カ月連続で高い伸びとなっているのも事実である。昨年がコロナ禍の真っただ中だったこともあり、あまり参考にはならないかもしれないが、前年比では3月が2.6%、4月が4.2%、5月が4.9%、6月が5.3%と、着実に上昇率が高まってきている。

通常の感覚でいうと、3~4カ月続く上昇は、もはや一時的と呼べるものではない。インフレ圧力は着実に高まってきており、それに対処するためのしっかりとした政策を打ち出す必要にも、迫られているのではないか。

ちなみにこの一時的(Transitory)という表現だが、FOMCは当時のベン・バーナンキ議長によるテーパリングショック(2013年5月)に端を発した前回の金融引き締め局面の初期段階でも、同様の表現を使っている。

その時には2014年末から2年以上にわたって「物価の上昇は一時的(Transitory)な影響によるもの」との文言を声明文に盛り込んでいたのだが、結局その後も物価上昇の流れは止まらず、一時的という文言も削除されている。

その後を受け継いだジャネット・イエレン議長によって利上げが粛々と進められたのは記憶に新しいところだ。今回もまだしばらく一時的との文言を外すことはないのかもしれないが、データの流れを見る限り、2016年と同じ結果となる可能性はかなり高いのではないだろうか。

市場のインフレ期待の高まりや、家賃の上昇には注意

また16日に発表されたロイター/ミシガン大学の消費者物価指数では、1年先のインフレ予測が4.8%と、2008年8月以来の水準まで上昇したことも、大きな意味を持つかもしれない。

FRBは足元の一時的な要因によるインフレよりも、市場のインフレ期待の高まりが持続的なインフレにつながるシナリオを警戒している。

パウエル議長も議会証言ではこのリスクに言及。通常のアメリカ国債と、「TIPS」と呼ばれるインフレ連動国債の利回りの差(=ブレークイーブンインフレ率)という代表的な指標はもとより、インフレに対する調査結果など、あらゆるデータを駆使してインフレ期待の動向を注視していることを明らかにした。今回のミシガン大消費者指数のインフレ予測の上昇について、FRBが「インフレ期待の本格的な高まりの前兆」と警戒している可能性は十分にありうる。

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