例えば、皆さんが昔読んだ本の中で、内容を鮮明に覚えているものってありますよね。それって、友達や親御さんと感想を共有した本ではありませんか? 人と「このシーンよかったよね!」「ここびっくりしたよね!」といったように、その本について感想を共有すると内容を忘れにくい。読書で得た知識や情報について、友達と議論するのもおすすめです。人に説明することでインプットの質も高まります。とくに「感想」は自分の感情を乗せてアウトプットする行為なので、記憶に残りやすくなります。こうした「アウトプット」の習慣は読書はもちろん、勉強においても重要なんですね。
さて今回は、夏休みに読んでおきたい「子どもにお薦めの本」を3冊ご紹介したいと思います。高校生をイメージして選びましたが、最初の2冊は小・中学生でも読める子はいるでしょうから、興味を持つようであれば手に取らせてあげてください。また自由に作品を選んで読書感想文を書くことが認められているならば、アウトプットにもぜひ挑戦させてみてください。
ライトノベルの中にも教養になる面白い本がたくさんある
まずは、いちばん読みやすい本からご紹介します。
最近は、本嫌いという人も多くいますよね。本なんて読みたくない、と思っている子も少なくないと思います。そんな子には、まずはライトノベルをお薦めします。ライトノベルというだけで敬遠する方もいるかもしれませんが、ライトノベルだって千差万別です。ライトノベルの中にも、普通の小説以上に教養になる面白い本もたくさんあります。
僕がいちばんお薦めなのは、野村美月著『“文学少女”シリーズ』(ファミ通文庫/KADOKAWA)。1つの作品ごとに文学作品をモチーフにしており、モチーフになるのは『人間失格』や『嵐が丘』などの王道で有名な文学作品です。その文学のこともわかるし、もっと文学を読んでみたくなる1冊だといえます。
文学の中には、いろんな感情や価値観が含まれています。その中には、エゴイズムもあれば復讐心も劣等感も人間的な欲望も、さまざまなものが凝縮されていますよね。それを、この作品では現代的に描いてくれています。文学の中に含まれるさまざまな要素を、しっかりと、それでいて現代の若者でも読みやすい形に編纂してくれているのです。文学を読む前に、一度この本を読んで文学を読む準備をしてみるというのは非常におすすめです。
読書感想文を書くなら、この作品の元の文学を読んでみるのがおすすめです。モチーフになった作品とこの作品を読み比べてみて、この作品の解釈と、自分が読んでみた解釈がどう同じで、どう異なっていたのかを考えさせてみると、読書感想文も書きやすくなると思います。
毎回絶対に「どんでん返し」が用意されている作品
続く2冊目も、ライトノベル作品をご紹介します。