中国の経済成長は4-6月(第2四半期)に鈍化した。市場予想におおむね沿った成長率だった。6月の小売売上高の伸びは予想を上回っており、中国の景気回復は安定化し、より均衡が取れつつある兆しを見せている。
15日発表された4-6月の国内総生産(GDP)は前年同期比7.9%増。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は8%増、1-3月は18.3%増だった。昨年の新型コロナウイルス禍による影響をならす2年平均ベースでは4-6月は5.5%成長と1-3月の5%成長から伸びが拡大した。
6月の工業生産は前年同月比8.3%増と、市場予想の7.9%増を超える伸びとなった。小売売上高は前年同月比12.1%増加。市場予想は10.8%増。1-6月の固定資産投資は前年同期比12.6%増えた。予想は同12%増だった。
工業生産と輸出主導でV字回復を遂げていた中国経済の持ち直しは、この数カ月で足踏みの兆しを示していた。コロナ禍で所得が打撃を受け、最近では散発的なコロナ感染で旅行や支出に制約が設けられたことから、消費者の慎重姿勢は変わらなかった。
回復度合いで見劣りしていた小売売上高の伸びは6月に予想を上回り、消費への経済のリバランスも顕在化しつつあるとの楽観的な見方が広がる可能性もある。
BofAセキュリティーズの大中華圏担当チーフエコノミスト、喬虹氏はブルームバーグテレビジョンで、「成長の全体像は工業生産と小売売上高に関してなお相当底堅い」と指摘。ここ数カ月の携帯電話や自動車、航空の動向が振るわなかったことから「小売売上高はもっと悪い数字でもおかしくなかった」と説明した。
中国政府は今年の成長率目標を6%超に設定しており、4-6月のGDP統計は容易に目標を達成し、引き続き世界の商品・工業製品の市場を後押しできることを示唆している。
ソシエテ・ジェネラルの大中華圏担当エコノミスト、ミシェル・ラム氏(香港在勤)は「先週発表された預金準備率の引き下げ後、顕著な景気減速を巡る懸念が広がっていたが、6月の指標はこうした不安を和らげた」と指摘。「まずまずの統計を踏まえると、クレジットインパルスの低下で成長に下押し圧力が強まると考えられる中で、最近の政策シフトは予防的措置だったようだ」と語る。
中国の経済構造に変化-「クレジットインパルス」低下、減速意味せず
ブルームバーグ・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、舒暢氏は中国当局がソフトランディングに向けた経済運営を継続すると予想。その際には金融安定リスクと景気回復を維持する必要性のバランスを取ることになり、政策手段の微調整が見込まれるが、積極的な緩和はないだろうとの見方を示す。
一方、スタンダードチャータードの中国マクロ戦略責任者、劉潔氏(香港在勤)は「中国の成長率はまずまずだが、十分ではない。中国経済はここからさらに減速するだろう」と分析。
市場は中国人民銀行(中央銀行)の金融緩和と成長支援に向けた決意を過小評価しており、先の預金準備率の引き下げ発表は中国が緩和サイクルに入ったことを示す明確なシグナルであり、年内の預金準備率の追加引き下げを見込んでいると劉氏は述べた。
原題:China’s V-Shaped Recovery Steadies as Retail Spending Gains (1)(抜粋)
(市場関係者のコメントなどを追加し更新します)
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著者:Bloomberg News
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