豪雨から身を守るには「雨水の行方」を知るべきだ

降った雨はどのようにして川の水になるのか

流域に降った雨はどのようにして川の水になるのでしょうか(写真:ライダー写真家はじめ/PIXTA)
線状降水帯による局所的な集中豪雨により、静岡県熱海市で大規模な土砂災害が起こりました。「流域思考」の重要さを提唱する慶応義塾大学名誉教授の岸由二氏は、小流域に降った大雨が、生活圏に被害を及ぼさないよう適切に集水されていなかったことが、そもそもの基本要因と語る。流域に降った雨はどのようにして川の水になるのか。それを知らないと、自分のいる場所が安全かどうかはわかりません。岸氏による新書『生きのびるための流域思考』より一部抜粋・再構成してお届けする。

雨水はどのようにして川の水になるのか

流域の集める雨水がどのようにして川の水になるのか、その量はどのような作用に左右されるのか、さらに流下して増水する川の水はどのような広がりを見せて最終的に海に至るのか、それをイメージできないと自分のいる場所が安全かどうか判断できません。雨水の動きをまとめておきましょう。キーワードは、集水・流水・保水・増水・遊水・氾濫・排水です。

まずは集水です。雨を受け止めた流域は、雨水のすべてを集水し、流水にするのではありません。わかりやすい例として、図に示したモデルの流域で考えます。

雨は流域ごとに集まり流下する(イラスト:たむらかずみ)

流域の源流・上流部には山・丘陵が広がり、流域の下手に広い低地がある流域を考えます。日本列島はその7割が丘陵・山地で、3割が低地です。低地は山間地の河川中流域にも発達しますが、大部分は、関東平野や大阪平野のように海岸沿い、つまり河川の下流部に広がっています。

6500年ほど前、地球が今よりもはるかに温暖で、海水の膨張や氷河の溶解を受けて、場所によっては数mも海面が高かった時代に、海辺の浅瀬や干潟だった場所が陸地化した地域です。図は、そのような配分の流域図になっているので、日本列島の事情を考えるのなら、平均的なバランスの図と考えていただいていいかもしれません。

流域の上部に集中して豪雨が降る場合を考えてみましょう。森や田畑に降った雨は、すべてが一気に川となって流れ出すわけではありません。森に降った雨は、最初のうちは一部が植物体に付着し(遮断)、地面に到達した雨もそのほとんどが土にしみ込んでしまいます(浸透)。

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