医者が教える「本当に注意すべき病気」の優先順位 ジム通いより年1回の高度がん検診を勧める訳

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現在、日本には2100万人もの慢性腎臓病患者がおり、成人の5人に1人に相当します。これは一流医学誌に報告された最新の間違いない数字です。しかも、日本人は透析が必要なほどに悪化するケースがとても多く、その率は台湾に続いて2位です。

腎臓は沈黙の臓器であり、がんや心筋梗塞のように、急激に「今すぐどうにかしなければ」という状況にはならないので、医者もあまり関心を持ちません。だから、専門医も少なく、大学病院など大きな医療施設に通っていても、腎臓について指摘される機会はほとんどありません。

となれば、あなたが腎臓に無頓着でいたのも無理からぬことです。統計上の死因としては、腎臓病によるものは7位です。しかし、慢性腎臓病になると、それ自体は比較的軽症であっても、心筋梗塞や脳卒中に罹る率が跳ね上がります。腎臓病自体で亡くなる前に、心筋梗塞や脳卒中で命を落とすことになり、その死亡率は4倍にも上るのです。

慢性腎臓病に罹ることは、すなわち命を縮めること。さらに、透析は著しくQOLを下げます。週に3日、1回4時間ほど拘束されるのですから、仕事も旅行もできません。100歳人生をすばらしいものにするために、腎臓を大切にする習慣を身につけましょう。

私がみなさんにお伝えしたい小さな習慣は、言い尽くされた古めかしいものではありません。新しい時代には新しい知見が必須です。

大事なのは「最新の知見は何か」

今後は医療も多様化し、専門クリニックや自由診療(保険外診療)も増えていくでしょう。自由診療と聞くと、突飛なことをやって高いお金を取る怪しい医療者を想像するかもしれません。たしかに、手遅れのがん患者に根拠もない「治療もどき」を行う不届き者も希にいます。

『医者が教えるあなたの健康が決まる小さな習慣』(KADOKAWA)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

しかし、すばらしい医学の進歩をいち早く患者さんに享受してもらうために、自由診療での新しい治療の提供を試みる医療機関も増えています。そうしたことを正しく知り、本当に自分に必要なものを取り入れていく知性が、人生100年時代には必須だと私は考えています。

同時に、医学はほかのどんな分野よりも加速度的に変化するダイナミックな学問であり、ときに、過去の常識は180度覆されます。

私自身、過去に信じていたことをひっくり返し、改定しながら毎日の臨床の現場に立っています。このときに大事なのは、「過去はどうだったか」ではなく「最新の知見はなにか」です。そこに行き着けることが重要なのです。そういう柔軟性をいくつになっても失わずにいてください。

習慣は、繰り返して身につくもの。だから、ずっと変えずに行うことがいいのだと考えているかもしれません。しかし、こと健康に関してそれではいけません。絶えずアップデートしていける頭の柔らかさ、知的好奇心こそ最も求められているのです。

とはいえ、医師として長く患者さんと接してきて、人はなかなか生活様式を変えることができないということもわかっています。だからこそ、小さなことから始めること、知ることから始めることが重要なのです。

牧田 善二 医学博士・AGE牧田クリニック院長

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まきた ぜんじ / Zenji Makita

AGE牧田クリニック院長。糖尿病専門医。医学博士。1979年、北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。1996年より北海道大学医学部講師。2000年より久留米大学医学部教授。2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、腎臓病治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業し、延べ20万人以上の患者を診ている。

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