自民伸び悩んだ都議会選、健在なり!「小池劇場」 与党の都民ファーストは第1党うかがう大健闘

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これまでの都議選では低投票率は「組織政党に有利」(同)とみられてきた。「今回は過去に例のない苦戦」と危機感を強めていた公明が至上命題の全員当選を果たしたのは、創価学会という強固な組織票がもたらした結果で、共産党の議席増も同様とみられている。

しかし、強大な組織と資金力を持つ自民に低投票率の恩恵は少なかった。前回と同様、無党派層に焦点を絞った空中戦に挑んだ都民ファが予想以上の議席を獲得したのは、「小池マジックに加え、菅政権のコロナや五輪の対応への不満のマグマが爆発した結果」(同)と指摘する向きが多い。

仮に、豪雨災害や東京でのコロナ感染再拡大がなければ、最終日には各新聞も「都議選明日投票」を1面トップ級で報じ、各テレビ局も「小池氏の都民ファ候補支援などを大きく取り上げたはず」(民放幹部)だ。その場合「自民は第1党奪還すら危うかった」(選挙アナリスト)との見方も出る。

菅政権で続く地方選での自民退潮

そもそも年初以来、菅政権下での地方選では自民の退潮が続いていた。政権発足後初の国政選挙だった4月下旬の参院広島選挙区などのトリプル選は自民が全敗した。さらに大型地方選の千葉県や静岡県の知事選でも自民候補が惨敗した。今回の都議選での自民伸び悩みも、「その延長線上の結果」(自民選対)であることは間違いない。

最大の要因は「菅政権への国民の不信感拡大」(自民長老)とみられる。都議選の最中に各種メディアが実施した都民を対象にした世論調査でも内閣支持率は20%台前半で、全国規模の調査より格段に低かった。

4年前の前回都議選で歴史的惨敗を喫した自民は、今回は「国政選挙に直結する大事な選挙」(菅首相)として総力戦を展開した。ただ、「自民の顔」であるはずの菅首相は告示日に自民党本部の集会で演説しただけで、コロナや五輪への対応を理由に街頭演説は見送った。

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