英国企業はロックダウン(都市封鎖)の措置緩和を受けて採用を拡大中だが、人材補充に苦戦しており、景気回復の勢いがそがれる恐れがある。
ロイズ・バンキング・グループによる1200社を対象とした月次調査結果では、適切なスキルを持つスタッフの採用に苦戦しているとの回答が2割近くに上った。企業の雇用の見通しは5カ月連続で上昇し、2年半ぶりの高水準。一方で求人情報サイトのアズーナのリポートでは、求人数は100万人で、求人1件当たり応募者は2.2人であることが示された。
これらの調査結果は1年4カ月にわたる新型コロナウイルス禍での行動制限と英国の欧州連合(EU)からの離脱が労働市場に長期的な打撃を与えたことを示している。最も深刻な影響を受けた接客や運送などの業界では、業務再開が可能になった今、人材を取り戻すのに苦戦している。
アズーナと共にリポートを公表した英雇用研究所(IES)のトニー・ウィルソン所長は、「雇用主が欠員を補充して失業者が仕事に就けるよう今すぐ行動しなければ、労働力不足とインフレ率上昇、長期失業という時限爆弾を来年に向けて仕掛けることになりかねない」と指摘した。