「団塊の世代」の年金は維持できるか--「失われた20年」と年金の危機

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団塊の世代は、不動産バブルからバブル崩壊時に部課長の世代だったが、割増退職金などの提示でリストラにさらされることになった。50歳代前半~半ばで、企業を去った人は少なくない。

金融機関の就業人口の大幅減は、団塊の世代がリストラのターゲットになったからだとみられる。バブル崩壊時のリストラは、割り増しが付いただけでも幸せともいえるのだが、団塊の世代にとっては大きなつまずきだったに違いない。

年金給付の維持は困難

「日本の公的年金、企業年金がいまのままで続くことを願っているが、給付利率の現実を見ていると、それがかなり厳しいのはわかっている」

団塊の世代のAさんは、大手信託銀行に勤めていた関係で年金についてはかなり詳しい。それだけに、現状の年金給付の維持が望ましいとしながら、いまの年金給付を維持することの困難さに深刻な懸念を感じている。

運用利率が低すぎる。運用が、給付利率にまで届かない。

運用下手、という問題もある。年金を運用する日本の金融機関の運用下手は、プロといえないひどさだが、長らく「護送船団方式」で競争なしの横並びでやってきた業界だから、もともとプロフェッショナルではありえない。

「これでは若い世代に“補填”してもらうしかないが、それも現実には無理がありそうだ」

Aさんはそう冷静に語っている。確かに、景気の長期低迷があり、若い世代は就職難などがあり、年金のピラミッドの底辺を支えるにはボリューム的にも厳しい。

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