「賃貸vs購入」に決着?帰属家賃で考えるお得感 金利が低い今は「買うのが得」と思われがちだが
家は買うのが得か、借り続けるのが得か。不動産に関する話題のなかでも、とりわけ永遠のテーマといっていい。そこで、この話に「プロ」が切り込むと、大抵、シミュレーションが展開される流れになる。
35年ローンと平均的な頭金額を想定した、住宅を購入した場合の40年程度の総住居費を割り出しつつ、賃貸に住み続けた場合のそれと比べていく、よくあるパターンだ。
今は「購入が得」との結果が出やすい
すると、通常、答えとしては「購入が得」との結果が出やすいのが、いまの傾向といっていい。
購入の場合に手元に残る物件資産への評価(最後はこれを支出全体から差し引いて答えを出すことになる)を低く見積もったケースでも、トータルで購入の方が「お得」となる場合が多いのが、おおむね現在の状況だ。
ちなみに、「いま」「現在」と、ここでかさねて記す主な理由は、金利にある。いわゆる歴史的低金利の継続によって、家を購入する場合の総合的負担が、いまはかなり抑えられている。このことが、強力な下支えのひとつとなって、「不動産は買う方が経済上お得」との答えを生み出しやすい土壌が、現在、主に都市部においては形成されている。
もっとも、こうした、家は買うべきか、借り続けるべきかについて、本当は多くの人々が、初めから答えを持っている。それは、この問いが、実は損得ではなく価値観を問うているものであるからだ。
すなわち、家を持つことを人生成功のシグナルフラッグとして心に捉えている、おそらく多数派であろう日本人において、この答えは自ずと決まっている。
「家は買えるなら買う」が、その答えだ。
さて、そんな前置きをしたうえで、この記事では、賃貸が得か、購入が得かについて、上記のようなシミュレーション方式とは若干異なるモノサシを提供したい。それは、「帰属家賃」という概念の応用だ。帰属家賃といえば、GDP(国内総生産)を構成する重要な一部として、ご存じの方も多いだろう。