住友商事、気候変動の株主提案「賛成2割」の重圧

「脱石炭」に遅れ、石炭火力完全撤退は2040年代

今年は三菱UFJフィナンシャル・グループに対しても気候変動対策の強化を求める株主提案が提出されている。

ただ、総合商社に対してこうした株主提案が出されるのは初めてのことだ。マーケット・フォースが今回、住友商事をターゲットにしたのは「石炭関連事業資産の削減で他社に遅れをとっている」(福澤氏)からだ。

発電用に使われる一般炭の権益について、三菱商事や三井物産、丸紅はすでに撤退を完了。伊藤忠商事も、保有する権益の約8割に相当するコロンビアのドラモンド炭鉱事業を2021年4月に売却し、一般炭事業からの撤退を急いでいる。これに対し、住友商事は「今後の新規権益取得は行わずに2030年の持ち分生産量ゼロを目指す」とスピード感に欠けた目標にとどまっている。

住友商事が気候変動対策の強化に重い腰を上げたのは、マーケット・フォースが3月26日に株主提案を提出した後のことだ。5月7日にこれまで示していた気候変動問題に対する方針の見直しを公表した。

住商の脱炭素方針に「大きな抜け穴」

石炭を燃やして発電する石炭火力発電関連事業も同様だ。新規の発電事業には取り組まず、全事業を終えて完全撤退するのは2040年代後半になってからだ。発電所の建設工事請負についても新規案件には取り組まないとしているが、この方針には例外扱いのプロジェクトがあり、マーケット・フォースは「大きな抜け穴がある」と批判を強めている。

その例外扱いのプロジェクトが、バングラデシュのマタバリ石炭火力発電所だ。円借款事業として住友商事は1、2号機の建設を請け負った。3、4号機の建設については今後入札が予定されている。兵頭社長は「バングラ政府から期待されていると認識しており、(1、2号案件に続く3、4号機を)現段階でやらないとは言えない」と話し、パリ協定との整合性を確認したうえで参画の是非を検討するという。

「IEA(国際エネルギー機関)は(2050年のカーボンニュートラルを達成するためには)2040年には石炭火力からの撤退完了が必要だとしているが、住友商事の方針は2040年代後半の撤退完了としている。気候変動がもたらす財務リスクを認識すべきだ」

こうした煮え切らぬ住友商事の姿勢に、マーケット・フォースは6月の株主総会でこう問いただした。

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