数億円の「特注ロールスロイス」が注目される訳 ボートテイル発表に見る究極の富裕層ビジネス
「コーチビルドには、一般の制約を超えた自由があります。通常、ロールス・ロイス・ビスポークには、キャンバスとしての当然の限界点があります。しかし、ロールス・ロイス・コーチビルドではその限界を打ち破り、コーチビルドならではの自由な表現力を生かし、パトロンであるお客様と一緒になってコンセプトを直接形にします」
「私たちはボート・テイルでこれを達成しました。私たちは共通のボディ・スタイルを持つ3台の特別なクルマを製作しましたが、それぞれに依頼されたお客様独自の極めて個性的な印が施されており、それによって異なるストーリーが展開されています。ボート・テイルには、前例がありません。ボート・テイルは、工業的に生産されるラグジュアリーとは異なる、もう1つの潮流なのです」
ここで説明された通り、今回発表された車両を含め、3台のボート・テイルが制作されているという。
洋服やジュエリーをオーダーする感覚で
3台をそれぞれ手にする3人のオーナーは「今まで見たことのないものを作ってほしい」とリクエストしており、これがロールス・ロイスに帆船の船体の造形を移植する「ボート・テール・タイポロジー(類型論)」を現代の手法で表現したい、というロールス・ロイスのデザインチームが長年抱き続けてきた思いと一致し、実現。
もちろん、3台のボート・テイルはオーナーの要望に合わせてそれぞれ別の仕上げが施されており、熱心な万年筆コレクターである1台目のオーナーのためには、「モンブラン」のペンを収めるアルミニウムと革のケースがグローブボックス内に組み込まれるなど、顧客の趣味趣向への気遣いに際限はない。
残りの2台についての仕様は現時点では公表されていないが、まったく違ったスタイリングになることもあるだろう。もっとも、秘匿性の観点から公表されない可能性もある。
洋服やジュエリーをオーダーメイドする感覚で、富裕層たちは車をもオーダーメイドする。こうしたコーチビルドビジネスがこれから伸びていくことは、間違いない。
ロールス・ロイスは、このボート・テイルを「将来のポートフォリオ」と明言しており、さらなるコーチビルドモデルの登場を示唆する。数億円、あるいは10億円以上を投じられる富裕層にとって、究極のオーダーメイドが、コーチビルドされたロールスロイスなのかもしれない。
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