数億円の「特注ロールスロイス」が注目される訳 ボートテイル発表に見る究極の富裕層ビジネス
ボディカラーは、依頼主の好みに応じたブルー。ホイールも同色仕上げとされるが、これは丁寧に研磨したのちにクリアコーティングを施すことで「祝福」を表現したものだという。
また、ロールス・ロイス初の手塗りグラデーションが施されたボンネットは、深い青色がグリルの上から始まっており、進歩的でありながらも堅苦しくない美しさを表現。
インテリアのレザーはボンネットの色を反映し、フロントシートを濃いブルー、リヤシートを薄いブルーとすることで、エクステリアとの共通性を感じさせる仕上がりに。
細部に施されたステッチやパイピングは「車載時計の針に着想を得た」という、より強いブルーを採用する。ボディの下部には、航跡の波を正確に模した55度の角度で鮮やかなブリリアントブルーが織り込まれたテクニカルファイバーが配された。
このようにデザインや色、ディテールに至るまで、1つひとつに意味を持たせるのが、ロールス・ロイス・コーチビルドの流儀なのだ。
-20℃~80℃の環境で走行テストを実施
しかし、依頼主の理想を実現するための開発は、内外装のデザインや素材だけにとどまらない。
たとえば、オーディオシステムはフロア構造全体をウーファー用共鳴室とするよう設計。後部に搭載されたホスティング・スイートの複雑な動作を実現するためには、車体後部だけでも5基の電子制御式コントロール・ユニット(ECU)を搭載する。これには完全再設計の専用ワイヤーハーネスが必要となり、そのために9カ月間におよぶ集中的な研究・開発が行われたという。
また、晴天の中でもホスティング・スイート内に収納した食べ物や飲み物に悪影響を与えないよう、熱を排出する2つのファンを設置し、どんな気候でも問題なく使用できることを確認するために、-20℃~80℃の厳しい環境下でテストを実施。静粛性の確認も含め、厳格な動的テストを実施するなど、オーダーメイドのためとは思えない開発工程を経ているのだ。
ロールス・ロイス・コーチビルドのデザイン責任者、アレックス・イネス氏は、今回のプロジェクトを次のように振り返る。
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