日経平均は本当に「下げ止まった」と言い切れるか 「2000円超もの下落」は決して無駄ではなかった
この直近の1株当たり利益1950円は、4月28日に対して約43%増。決算発表開始前(3月末)1288円に対しては約51%増である。つまり、業績期待相場の基本要因もまったく変わっておらず、ここでも「さらなる拍車」がかかっている。
「日銀の呪縛からの卒業」へ「大きな一歩」か
ズバリ筆者にいわせれば、3日間で日経平均2000円超の下げの主な理由は、日銀がマーケットのメインプレイヤーから撤退したことによる。
11~13日の3日間におけるTOPIX(東証株価指数)の前引けの下げ率は1.98%、0.90%、0.61%であった。最近は「2%以上の下げでなければ買わない」といわれている日銀ETF(上場投資信託)買いが入らなかったのは当然としても、大引けでは2.37%、1.47%、1.54%と連続して大きく下げていたことは厳然たる事実だ。
これを日銀が「無視した」ことは、今回「連続して大きく下げたときには前引けにこだわらず買う」という一方的な市場の期待が裏切られ、日銀が日本株マーケットの買い主体から消えたことを意味する。
これは、海外ファンドの売り仕掛け筋には大きな安心感を与えた。売り仕掛けの「邪魔者」がいない日本市場、その分だけ売り方優位になったとしたら、今後の下値波乱が増したことを意味し、基本要因の1つが変わったといえる。
今までも急落で下値を試す場面はあったが、今までは日銀ETF買いが入ることで、売り崩しを仕掛ける筋の効果的な力が発揮できなかった。売り方にとって極めて厄介な存在が日銀であったのだ。
しかし、もし今回の下げが「日銀ETF買いの呪縛からの卒業」を認知する下げだとしたら、まだ波乱があるとしても、日本株にとって「独り立ち」への極めて大きな好材料とはいえまいか。
もちろん、日銀が逆に売り方に回ることはないというのが前提だが、相場の潜在的な重しになる「裁定取引ネット買い残」も再びマイナスになった。
「3月またがりの60日」の調整が終わったことが今週(17~21日)にされれば、今回の下げは大いに意味のあるものだったことになる。筆者は今週複数発表される5月の経済指標、とくに21日に発表される欧州とアメリカのPMI(購買担当者景気指数)速報値に注目している。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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