扇風機、DC型人気が起こす価格上昇の風 省エネを武器に家電量販店の売り場を席巻
DC型は震災前からあったが、「価格が高く、需要は少なかった。ただ、徐々に価格が下がり、震災後の省エネ需要に合致した」(ビックカメラ有楽町店の高須祐宏氏)。
家電大手も扇風機市場の盛り上がりに着目。量販店での販売から撤退していたパナソニックやシャープも、2011年以降に次々と再参入した。
パナソニックの売りは自然界さながらの風だ。DCモーター搭載に加え、独自のひねった羽根を従来品より多い7枚つけることで、直接当たっても心地いい自然の風を再現した。「これまでは風を受けたいだけだったが、今は風の質にこだわるお客さんが増えている」(同社マーケティング担当の岡田久美子氏)。
さらにパナソニックはナノイー、シャープはプラズマクラスターといった脱臭や除菌の効果も付加。送る「空気」の中身でも差別化を仕掛けている。
高額商品も値頃感が増す
DC型市場には、山善やトヨトミといった低価格品を得意としてきた商社や中堅家電メーカーも参戦。1万円を切るDC型も出ており、「価格帯が近づいたことで、AC型の既存顧客もDC型に流れている」(前出の高須氏)。
一方、DC型の普及により値頃感が増したことで、2万~5万円台と高価なダイソンの羽根なし扇風機も引き合いが強まっているという。自然の風の再現にこだわったバルミューダ製も、2万~3万円台と高価だが人気は根強い。
扇風機市場は震災直後の特需こそ一服したが、DC型や高級品が牽引している。寝苦しい夏、省エネで身体への負担も少ない扇風機に対するニーズはまだ続きそうだ。
(「週刊東洋経済」2014年7月19日号<7月14日発売>掲載の「価格を読む」を転載)
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