「副業をしている人」がハマりやすい落とし穴 妻がいるなら副業する前にやるべきことがある

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「副業で生じるリスク」も知っておく必要がありそうです(写真:タカス/PIXTA)

なかなか終わりの見えない新型コロナウイルス感染。その影響で、働く場を失ったり収入が大きく減ったりした人も多いでしょう。厚生労働省によると、今年4月現在、仕事を失った人は、見込みも含め10万人を超えたということです。

幸田真斗さん(34歳・仮名・会社員)も、在宅勤務が増えて出社する回数は減り、あてにしていた残業代がなくなりました。支出を減らそうとしましたが難しく、結局、昨年の貯蓄の取り崩し額は25万円に上りました。計画では、60万円の貯蓄を見込んでいましたが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の27万6000円しかできませんでした。

この先、収入がもとに戻るとは考えにくいので、幸田さんは「副業を考えている」と言います。すでに貯蓄を取り崩さなくてはならない状態になっているので、不安が募ります。「赤字補填のために副業を」というわけですが、「副業で生じるリスク」も知っておく必要があります。

「ダブルワーカー」の労災保険は手厚くなった

副業のリスクがあらわになるのは、万が一のときです。

仕事をしているときや通勤途中にケガをして療養したり、病気になって休業したりしなければならないことがあるかもしれません。2つ以上の適用事業所で働く場合の「複数業務要因災害」、いわゆるダブルワーカー(複数事業労働者)のケガや病気などに対しては「労災保険(労働者災害補償保険)」から保険給付を受けることができます。医療費の負担はありませんし、休業(補償)給付も手厚く受けられます。2020年9月からはダブルワーカーが増えていることを背景に、法律(労働者災害補償保険法)が改正されました。ダブルワーカーが安心して働けるように、保険給付について「複数事業の賃金を合算」するようになったのです。

例えば幸田さんがA社の仕事を終えた後、副業先のB社で週に3日程度、夜間に仕事をしたとします。両社の労働時間を通算すると、月の時間外労働が100時間を超えることが続き、精神疾患を発病してしまいました。

収入はA社で月30万円、副業先のB社で月15万円です。働けなくなった場合に給付される「複数業務要因災害休業給付」は、それぞれ

A社 30万円×3カ月÷90日=1万円
B社 15万円×3カ月÷90日=5000円

となりますが、法改正によって給付基礎日額は両社を合わせて1万5000円となります。このような場合、従来は労働災害が発生した会社(A社あるいはB社)での収入をもとに給付額が計算されていましたが、複数の会社で働いている場合はすべての会社の賃金合計額をもとに給付基礎日額が算定されるようになったのです。これで幸田さんは休業しても生活にそう困らないでしょう。

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