ランプメーカーが自動運転センサーに注力の訳 小糸製作所を筆頭に、「LEDランプ化」後に照準

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相次ぐ出資や提携の狙いについて、小糸製作所の伊藤昌康・技術副本部長は「高精度なLiDARや全天候カメラの開発でレベル4以上の自動運転(いわゆる完全自動運転)に対応できるセンシングを可能としたい」と意気込む。

現在、自動運転で主に使われている種類のLiDARは1つ100万円以上する。だが小糸製作所が開発を進めるのは、それとは異なる方式でレーザーを照射するLiDARで、価格を10分の1以下に抑えたセンサーを2023年に発売する予定だという。

センサーはベンチャーと共同で開発し、センサーの製造は小糸製作所の国内工場で行う予定。センサーを内製化することでセンサーのみでの販売も行うことができ、ビジネスの幅も広がる。

道路周辺のインフラにも商機

他のランプメーカーや自動車部品メーカーにない小糸製作所の強みは、完成車向けに部品を供給するにとどまらないことだ。同社の子会社には信号機などを製造・販売している子会社・コイト電工があり、互いに協力しながら自動運転実現に不可欠な道路周辺のインフラにもビジネスチャンスを見出そうとしている。

アメリカのベロダイン・ライダー製のLiDAR。多くの自動運転実験車両で使われている(記者撮影)

自動運転を実現するには、信号機や街路灯などにセンサー類を設置する必要がある。そうすれば、見通しの悪い交差点での障害物検知が可能になり、走行する車と通信機能で情報共有すれば、安全性を高めることができる。

実際、小糸製作所とコイト電工は2020年11月から、茨城県日立市で行われている路線バスの自動運転の実証実験に参加。道路側に設置したセンサーを組み合わせ、安全に自動運転バスの運行を行う実験の一翼を担っている。

ランプメーカー各社を自動運転分野へ駆り立てているのは、現在主流であるランプ製品群がいずれ飽和状態になりかねないからだ。

自動車ランプメーカーのここ10年間の成長を支えてきたのは自動車ランプのLED化だった。長寿命で省エネルギーのLEDは高単価でもあり、旧来のハロゲンランプなどからLEDに切り替わる流れに乗って各ランプメーカーは売り上げ、利益ともに伸ばしてきた。

例えば、コロナ禍前である小糸製作所の2019年3月期実績は2011年3月期実績と比べて、売上高で1.9倍、営業利益で2.7倍に成長した。

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