ランプメーカーが自動運転センサーに注力の訳 小糸製作所を筆頭に、「LEDランプ化」後に照準

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だが、国内では発売される新車のヘッドランプの7割以上にLEDが搭載されており、テールランプでは9割にのぼっている。スタンレー電気や小糸製作所と並ぶ国内ランプ大手・市光工業の箕川彰一マーケティング部長は「(これ以上、LEDランプの採用拡大で収益が)爆発的に伸びることはない」と指摘する。

LED化に代わる成長が見込める製品に、対向車や歩行者がまぶしくないようにハイビームの照射位置を変化させることのできる高機能ランプ・ADB(配光可変ランプ)がある。法規制で未承認の国も多いADBだが、承認済みの日本でも新車ヘッドランプへの採用率は8~9%程度とされる。

世界のセンサー市場には大手が続々参入

市光工業は今後5年で国内採用率20%程度を目指す。ただ、「オプション設定や上位車種への標準搭載といった形での採用が主流になるだろう」(箕川部長)といい、LED化ほどの売り上げ貢献は見込めそうもない。

小糸製作所のランプの製造ラインの様子(写真:小糸製作所)

世界に目を転じると、自動運転向けセンサー市場には、ヨーロッパ大手のコンチネンタルやボッシュなど大手部品メーカーのほか、ベンチャー企業などのライバルが続々と参入している。

小糸製作所の有馬健司副社長が「LiDARは2030年には5000億円市場になるという予測もある。そのうちの一定のシェアはとっていきたい」と意気込むように、自動運転用のセンサー市場は今後も大きな成長が見込まれる。

今後も自動運転や電動化などの新技術が生まれ、自動車部品の付加価値の構造に大きな変化が出る可能性が高い。日系部品メーカーはライバルと新技術や価格の競争を繰り返しつつ、構造変化の中に生き残りのチャンスを見出すことになりそうだ。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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