ランプメーカーが自動運転センサーに注力の訳 小糸製作所を筆頭に、「LEDランプ化」後に照準

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自動運転実証実験中の金沢大学の実験車両。車体の屋根の上にLiDARを設置している(記者撮影)

自動運転車の実現が近づく中、国内の自動車向けランプメーカー各社が自動運転用センサーの開発に力を入れている。

2021年に入ってランプ大手のスタンレー電気が三菱電機と業務提携を結んだ。自動運転関連の開発で協力していくといい、自動車部品メーカーと総合家電大手が異色のタッグを組んだ。

小糸製作所は海外企業と相次ぎ出資・提携

国内ランプ大手の市光工業も、親会社であるヨーロッパの部品大手ヴァレオと協力しつつ、自動運転向けの開発を進めている。ヴァレオはすでにドイツのアウディへLiDAR(自動運転など向けに使用されるセンサーの一種。レーザー照射で周囲の状況を把握する)を納入しており、存在感を示している。

では、ここにきてランプメーカー各社がなぜ自動運転分野に進出しようとしているのか。理由の1つはランプの位置にある。

前方のみを感知するセンサーであれば、車の真ん中に配置すればいいが、自動運転では横の車線や歩道など、車の側面にある情報も重要になる。自動車のランプは車の四隅に配置されており、検知できない範囲をできるだけ減らすためのセンサーを設置するうえで非常に有利なのだ。

また、センサーは光の一種であるレーザー照射などを使って周囲の状況を把握するため、ランプとの相性も良い。

日系のランプ大手3社の中で自動運転にとくに積極的なのが、ランプ世界最大手の小糸製作所だ。同社は2017年にアメリカのシリコンバレー、2019年にはイスラエルに情報収集用の拠点を設置。2019年には、雨天時などでも周囲の検知が可能な全天候型カメラ技術を持つイスラエルのBrightWay Visionに約25億円出資し、持分法適用会社としている。

2019年にはLiDARを開発しているドイツのブリックフェルド社とも業務提携し、翌2020年には別の方式でレーザーを照射するタイプのLiDARを開発しているアメリカのセプトン社にも出資した。

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