ラジオの「見える化」とは何か? フィードバックの回路で、リスナーと共に番組を高める

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想像力が重なり合ってできる独特の場

僕は自分が手がける番組の中でも、特にニュース情報系の番組でSNSを積極的に活用している。それはリスナーの声や反応を番組にフィードバックする回路を作り、リスナーと一緒に番組を高めたいと思っているからだ。だから番組にダメ出しをするときも、ただ「全然わかってない!」と罵倒するのではなく、具体的に「次はこの部分を取り上げてほしい」といった形で指摘してもらえると、とてもありがたい。

同時に、SNSの反応をダイレクトに受け取りすぎないよう気をつけてもいる。ツイートなどをしながら聴く人は全体のごく一部だし、そこに表れるのはその人の一面でしかない。ある種の同調圧力が働いて一部の意見が大きく見えてしまうこともある。そして、いちばん大きな理由は、僕がラジオの本質を「想像力のメディア」だと思っていることだ。

以前、劇作家・演出家の長塚圭史さんの番組を作ったとき、長塚さんは「姿の見えないお客さんに向かってしゃべるのはとても不思議な感覚だ」と言っていた。演劇の舞台からはお客さんの姿が見えるが、ラジオはスタジオに設置されたマイクに向かって話すだけ。しかしその先に何十万人ものリスナーがいる。それがとても新鮮だったらしい。

ラジオの出演者やスタッフは、姿の見えないリスナーを想像しながら番組を放送している。リスナーもスタジオの様子を思い浮かべながら聴いている。そういう想像力が重なり合って、ラジオ番組という独特の場が形作られる。SNSでその一部が可視化されたとはいえ、本質は変わらない。

むしろ、想像するための材料が増えたという感じだ。可視化された「これが欲しい」という言葉の後追いをしているだけでは面白いものにならない。その先を必死に想像して、相手に渡したときに「そうか、自分はこういうものが欲しかったのか!」と思ってもらえる番組、それが僕の理想だ。

 

構成:宮崎智之

「週刊東洋経済」2014/7/5号:得する年金

 

 ☆★☆お知らせ☆★☆

この記事の筆者・長谷川裕氏がプロデューサーを務める「文化系トークラジオLife」が、6月22日(日)25:00~(6月23日1:00~)に放送されました!ポッドキャストでも聴けます。


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 「コンテンツの買い叩き」現象が目立つ今のウェブ環境は、「プロのクリエイター」であろうとする人たちにとって、まったく「おいしくない」ものになって います。ではどうするのかと考えたときに、ひとつの道としてあるのが、不特定多数の人たちに作品をばらまくのではなく、自分の作品の価値を理解してくれる 人のところにきちんと届くような流通手段をとること。最近話題の「里山資本主義」の話に近い、いわば「里山ウェブ」とでも言える動きです。クリエイターと 受け手のよい関係を目指す動きとして登場してきている『里山ウェブ』。あなたは支持しますか?

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