免許歴20年超の運転にデータ分析で見えた弱点 トヨタ「モビリタ」で安全運転プログラムを体験

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水をまいて滑りやすい路面で走ってみた(撮影:正久 仁)

今回、私たちが体験したのは、雪道レベルの滑りやすい路面を再現した低μ路を使ったプログラム。ドライバーの操作状況を録画するカメラや車両挙動を計測するGセンサーを備えた機器をFRスポーツカーのトヨタ86に搭載し、参加者がハンドルを握って走行するというもの。

トヨタの走りを磨きあげてきた経歴をもつテストドライバーがインストラクターを務め、彼らがクルマづくりで培ってきたノウハウを活用しながら、走行データを分析してアドバイスを行い、安全運転の啓蒙に役立てる取り組みをしているそうだ。このプログラムは1枠30分、2200円の費用がかかるものだが、普通運転免許所持者であれば、気軽に体験できるようになっている。

今回のプログラムについて説明を受けたあと、インストラクターの先導走行で走行方法を確認。86の運転席に乗り込むと、クネクネと回り込む低μ路に入り、完熟走行をしながらコースの確認を行う。

2本走行するうちの1本目は、トラクションコントロールや横滑り防止装置が作動する状態で走行。なるべくタイヤが滑り始めないような走りを心がけるものの、水がまかれた特設コースは、コーナーごとに曲率が異なっていたり、S字状に切り返したりしなければならない変速的なレイアウトになっていてクルマにとっては姿勢を乱しやすい環境だ。少しでも荒い運転操作を行うと、すぐさま電子制御が介入して、安定した姿勢で走れるようにクルマ側に促される。

丁寧な操作を心がけて運転してみる

一見すると同じように見えるカーブでも、路面の滑りやすさは異なり、ドライバーの予測に反してタイヤのグリップが限界を超えてしまうと、滑り始めてクルマは姿勢を乱そうとする。タイヤがグリップする感触を確かめながら、丁寧な操作を心がけていった。

2本目はドライバーの操作によるクルマの動きを体感すべく、トラクションコントロールや横滑り防止装置のスイッチをオフにして走行する。1本目の走行では滑り始めるかどうかの時点で制御が働き、安全に走れるようにフォローしてくれていたが、今度はそうはいかない。クルマが曲がろうとしていないところで無理にハンドルを切り込んだり、アクセルやブレーキペダルの踏み込み量が大きすぎたりすると、途端にリアが流れてあからさまに姿勢を乱す。

滑りやすい箇所だとわかっていても、いったん滑り出してしまうと、どんなにハンドルを切り込んでも、タイヤはグリップの限界を超えてしまっているため、ドライバーの意思とは裏腹にクルマの走行ラインは外側に膨らんでいってしまう。

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