限界まで頑張る人が心の崩壊に気づけない不幸 「お断り」できるようになる3つのポイント

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このような「自分の心に麻酔をかけて生き延びる」状況がずっと続けば、「消えたい」「自分が生きている意味がわからない」といった、生存レベルの生きづらさを抱えるようになるでしょう。そうなってしまう前に、ぜひ知ってほしいことがあります。

それは、心身の限界をむかえる前に自分を侵害する他者に対してしっかりとNO!を伝え、「お断り」できるようになるための考え方です。拙著では自分を守り、どうすれば心身ともに穏やかに暮らせるのか、そのさまざまな方法論や考え方をご紹介していますが、ここではそのなかから1つお伝えしましょう。

NOを言えるようになるために最も重要なのは、人間関係のあり方を見直すことです。そのうえで自分の利益や自尊心を守るために、ときには「お断り」をすることが必要なのですが、それは簡単ではありません。そこで、自他ともに良好な人間関係を保つための「態度の調節」というスキルをご紹介します。

NOを言えない自分のレベルを知る

これは、「弁証法的行動療法」という心理療法で用いられる対人関係スキルのひとつです。下記で紹介する表は、「お断り」を上手できるようになるための「態度の調節」のワークシートに、私なりのアレンジを加えたものです。

(出所:筆者作成)

「NOを言うなんて強い人にしかできない、私には無理だ」「相手の意見を突っぱねることなんて怖い、逆にストレスになる」という人ももちろんいるでしょう。そうした方も、今の自分が表においてどのくらいのレベルで、どのレベルくらいまでできそうか、最終的にどのレベルまでいきたいかを考えるための参考にしてみてください。

もし、あなたが「レベル1」の最も弱い態度しか取れないという人でも大丈夫です。ひとつずつゆっくりとレベルを上げていきましょう。レベル9、10の断り方ができる人はごくまれですし、必ずしも一番強い態度をとる必要はありません。

自身の人間関係の中でどのような振る舞い方が自分に合っているか、表を見て考えてみましょう。NOを言ってもつらくないレベルがわかれば、自然と頼まれごとを断ったり、自分の意思を伝えたりする心理的負担は減ってくるはずです。

どうしてもレベルを上げることが難しいという人でも、NOを言えない今の自分の状態についてイヤだと思ったならば、それが「不服である」ということだけは自分の心に認めてあげてください。いまのコミュニケーションが、「自分が望んでいる形ではない」ということを認めるだけでも、立派な「NO」だと思います。

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