日産「テラノ」80年代米国生まれの数奇な運命 RVブームの終焉で絶版になるも見直される価値
人気が急上昇するなか、ハイラックスサーフは1989年に2代目へと進化。
ところがテラノは、言わば“本場”で販売されていたベースのダットサンやパスファインダーのセールスが好調で、さらに日本でも売れていたこともあり、モデルチェンジの機を逸し、ようやく2代目が登場したのは発売開始から9年後の1995年のことだった。
独自のスタイルで再ブレイクを果たしたテラノ
しかし1990年代の終わり頃から日本でのRVブームがミニバンブームへと移行していくと、テラノの販売は低迷。パスファインダーが今もアメリカで代を重ねながら販売されているのとは対照的に、テラノは、日本ではすでに絶版となっている。
しかし30年以上の時を経て、初代テラノの’80年代のアメリカンなデザインが日本で見直されている。台数が少ないこともあり、コンディションのいい個体なら200万円以上の値がつくこともある。
実は、初代テラノのデザインは日本ではなく、カリフォルニアにある「NDI(日産デザインインターナショナル)」に任された。
何しろ当時の日本では「SUV」はもちろん、「RV(レクリエーショナル・ヴィークル)」という言葉もまだ定着していなかった頃だ。おりしもバブル景気が始まり、好景気に浮かれていく中で「ピックアップトラックを改装」したような車が当時の日本人にあまり理解されにくかったのは無理もない。
しかしそんな時代背景のおかげで、ブームのど真ん中にいたカリフォルニアのチームがデザインでき、今、国内でその独自のスタイルで再ブレイクを果たしている。時代に翻弄されたこの数奇な運命も、テラノの魅力のひとつなのだ。
(文/籠島康弘)
“今”を手軽に楽しむのが中古。“昔”を慈しむのが旧車だとしたら、これらの車はちょうどその間。好景気に沸き、グローバル化もまだ先の1980〜’90年代、自動車メーカーは今よりもそれぞれの信念に邁進していた。その頃に作られた車は、今でも立派に使えて、しかも慈しみを覚える名車が数多くあるのだ。
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